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2008年02月28日

5秒の手間を掛けずにコメントする人たち

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080228-00000095-jij-soci
 生活保護を受けている人が一時的に海外に滞在した場合、その期間の生活保護費を受給できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は28日、「居住地を国内に有していれば、保護を受けられる」との初判断を示した。これまでの行政実務では、こうしたケースは支給しておらず、自治体側は変更を迫られることになった。
 同小法廷は一方で、「国外に滞在し続けるなどした場合には、保護の停止や廃止の決定をすべきだ」とも述べた。
 その上で、大阪市側に減額処分取り消しを求めた男性について、タイへの渡航費用約7万円を自分で支出したと指摘。「最低限度の生活維持のための金銭を保有していたことは明らかだ」とし、取り消しを命じた1、2審判決を破棄し、請求を棄却した。
 いやはや、断片的情報です。時事通信の配信だから仕方ないといえば仕方ないのですが、これだけじゃ、はっきり言って何も分かりません。というわけで、東京新聞配信を。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008022801000653.html
 生活保護を受けている大阪市東淀川区の男性が、海外滞在を理由に滞在日数分の保護費を区福祉事務所が減額したのは違法として、処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は28日、「住居が国内にあれば、海外滞在期間中も生活保護の支給対象になる」との初判断を示した。

 横尾和子裁判長は一方で「海外渡航費は本来、生活費に充てるべきで、その限度で差し引くことは妥当」と判断。請求を認めた1、2審判決を破棄し、男性敗訴とする判決が確定した。

 海外旅行中の生活保護打ち切りは全国的になされている運用。行政は見直しを迫られるが、判決は旅行費分をカットできると認めたため、受給者には必ずしも有利とはいえないようだ。

 判決によると、男性は2001年4月から生活保護の支給を受けていたが、同年6月に11日間、求職活動を理由にタイに滞在。帰国後、「生活扶助費」として、交通費や滞在費計約7万円の支給を区福祉事務所に申請した。

 しかし、却下された上、9月分の保護費支給の際、タイに滞在した11日間に相当する約3万3000円が差し引かれた。
 さて、原告は求職活動のためにタイに渡航したらしいですが、前掲のyahooニュースのコメント欄では、時事配信の断片的情報だけで勝手に旅行目的と解釈して、瞬間湯沸かし器の如く騒ぎ立てている人がいます。
いいな!!
生活保護を受けていながら、タイ旅行なんて。
国民の税金の無駄使いじゃぁ・・・ないの?
私も・・・生活保護受けたいよう!!
ちょっとまて、なんで生活保護で海外にいく用事があるんだ。家族が事故にあった以外は渡航だめだろ。
タイは物価約1/10だから、日本で生活保護もらい、向こうで生活すれば豪遊できる
日本で生活保護をもらい東南アジアで生活すれば働かずに豪遊できるわけですね。しかも病気になったら日本に帰ってきて無料で治療ができるわけですからすばらしいですね。しかし一方でまじめに働いても毎月の健康保険料が払えずに病院に行けない人が増えている現状もあるんですよ。
生活保護を受けていながら、タイ旅行?ぜったいおかしいよ!
この人の生活保護は取り消してもらいたい。税金の無駄!!本当に困っている人に生活保護を!!
 原告の男性は、わざわざタイにまで行って求職活動しているくらいなんですから、就職意欲はあるけど、日本での就職は難しいんでしょう。また、就職すれば生活保護受給要件が消滅することだって分かってるはずです。しかしながら、今、日本でこういう訴えを起こしているんだから、タイでの求職活動には失敗したものと思われます。
 そういう、自立意欲があるけど、残念ながら失敗した人に対して「この人の生活保護は取り消してもらいたい」だなんて言い放つだなんて、鬼ですね。

 また、「下にあわせる」発想も。
この判決はいかがなものか?合理的な渡航理由があったのか問題だ。生活保護は治療と証して国内旅行行き放題。海外旅行も行き放題。ぎりぎりの収入で頑張って海外旅行なんて夢の人をあざ笑う判決。怒りを覚える。
 では、如何すれば底上げできるか考えようじゃないか。
 はっきり言って、一番悲惨なのは生活保護要件よりホンの少し収入がある人。こういう人は、仰るとおり、ぎりぎりの収入。ただ生きているだけという状態。
 さあ、繰り返しになるが、如何すれば底上げできるか共に考えよう。

 ちなみに私、より詳しく書かれている東京新聞配信記事はGoogleのニュース検索で「生活保護」と入れて1ページ目に発見しました。所要時間5秒です。
 たった5秒の手間も掛けずに、これら事実誤認の意見を書き込む、自分の言論への責任の無さ。ショボイ義憤とズレた平等感覚で「この人の生活保護は取り消してもらいたい」とか「ぎりぎりの収入で頑張って海外旅行なんて夢の人をあざ笑う判決。」と言い放つ思考回路。日本の未来は「明るい」ですねー

 さらに、日本人的単純思考全開な書き込みも。
もっと謙虚に生きろ!
何でも権利を主張するな!
権利を主張できるのは、ちゃんと義務を果たしている人だけです。
はきちがえるな。
 最低限度の文化的生活を保障する憲法25条に定められた生存権は基本的人権であるので、義務を果たす云々は関係なく、全ての人に等しく与えられるものです(天賦人権)。
 ちなみに、日本国憲法の定める国民の義務は、1.(子供に)教育を受けさせる義務 2.勤労の義務 3.納税の義務 です。本件の場合、原告はタイで就職活動をしていることから、勤労の意欲はあるが、職は無い。職が無ければ納税も出来ない。そういう意味で、国民の義務を果たさない(果たせない)正当な理由があるものと思われるので、「基本的人権は天賦人権」以前に、もはや致し方の無いものと思われます。 

 おまけ。妥当な意見。
内容をよく読むと、妥当な判決だと思われる。
まず第一の点は、あくまで、居住地は国内にあり、一時的に海外に滞在した場合に限り、継続して生活保護を受けられるとした点。
第二の点は、海外への渡航費用が自費であったことから、それだけ生活に余裕があったことを認定し、生活保護費の減額をされて当然だとした点。
つまり、原則論として、生活に必要な最低限の保護だけを行政は行うべきであり、それを超える生活保護費の支給は必要ないという判断をしたということ。
国民感情からみても、これ以上妥当な判決はないと思うが。
posted by s19171107 at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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