連合(日本労働組合総連合会)の高木剛会長は2008年4月26日、東京都内で開かれたメーデー中央大会で、「休みたいなら辞めればよい」と発言したとされる日本電産の永守重信社長を強く批判した。高木会長は「言語道断。労働基準法が雇用主に何を求めていると思っているのか」と、同社長の姿勢を非難。大会に出席していた舛添要一厚労相は「きちんと調査する」と応じた。当方としましては、以前の記事でも書いたとおり、適切な休息こそが効率的労働に不可欠であるのは人間も機械も同じという観点から、「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」というこの発言については批判的立場をとります。
舛添厚労相「きちんと調査し、指導すべきは指導する」
永守社長は4月23日の記者会見で
「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
と発言したと報道され、論議を呼んだ。この「経営最優先」の発言については、高木会長も労働団体のトップとして黙っていられなかったようだ。
高木会長は、「仕事と生活の両立」を指す「ワーク・ライフ・バランス」の必要性を強調する中で、反面教師として日本電産社長の発言に言及。「休みたければ辞めればいい」発言については「この会社の時間外・休日労働の実態を調べてみたい」とした上で、「休日返上で働くから成長できる」との発言に対しては
「まさに言語道断。労働基準法という法律があることを、また、労働基準法が雇用主に何を求めていると思っているのか、どのように認識されているのか。ぜひ問いただしてみないといけない、そんな怒りの思いを持って、この日本電産のニュースを聞いたところであります」
と憤りをあらわにした。
これに対して舛添厚労相は、直後の来賓あいさつで
「労働関係法令はきちんと遵守してもらわないといけない。きちんと調査し、指導すべきは指導し、法律にもとるものがあれば厳正に処分する」
と応じた。
「非正規労働はホームレス問題と直結」
この日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれたメーデー中央大会には約4万5000人が参加(主催者発表)。中央大会に続いて、パートや派遣など非正規労働者の待遇改善を求める「非正規労働メーデー」も開かれた。
「ワーキングプアの反撃」などの著書で知られる作家の雨宮処凛(あまみや・かりん)さんと高木会長がトークライブに臨み、「非正規労働の問題は、ホームレスの問題と直結している」などと訴えた。
雨宮さんは
「非正規労働についての取材をしていると、今(非正規雇用で)起こっている問題は、ホームレスの問題と直結していることがわかります。ちょっとした怪我や病気で契約を切られてしまって、すぐに収入がゼロになってしまう。雇用形態によって、生存が脅かされる状況になっています」
と、非正規労働者がちょっとしたきっかけで「ネットカフェ難民」に転落しがちだと指摘した。
一方、高木会長は「連合は、正規労働者しか守ってこなかったのではないか」と問う声があることについて、これまでは非正規労働者への取り組みが不十分だったことを認めた。その上で「主犯は経営者、従犯は労働組合」との認識を示し、経営者の姿勢をただしていく構えを見せた。
ところで、コメント欄に以下のような書き込みがありました。
経営者の本音なんてこんなもんだ。いえいえ、奴隷制度とはかなり違いますよ。
休みなしでもいいが、その分給料は支払うつもりがあるならともかく、休みなしで働け!金も出さん!というのであれば、奴隷制度そのものだよな。
奴隷というのは、多くは主人が奴隷商人から買い取った「所有物」である以上、その生存は保障されています。確かに頭の悪い奴隷所有者なら、休みなしで働かせるでしょうが、ある程度、考える頭のある奴隷所有者なら、どれだけ長く奴隷を「保たせる」かというのを考えるので、ある程度の「メンテナンス」をします。所謂古代の「奴隷」というのは、現代で言うところの「製作機械」です。
一方で労働者は、仕事のあるときだけ雇い入れられる。そして、雇用期間以外の暮らしについては全くのノータッチであり、これは主人の「所有物」である奴隷とは異なります。もちろん、労働者は使用者の所有物ではないので、雇用期間以外の暮らしについてノータッチであることは当然ですけど。
ですから、労働者というのは、ある意味において奴隷よりも劣悪な環境にいると思うのですが、どうでしょうか。