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2008年04月27日

ある意味「奴隷」より劣悪な「労働者」

http://www.j-cast.com/2008/04/26019537.html
連合(日本労働組合総連合会)の高木剛会長は2008年4月26日、東京都内で開かれたメーデー中央大会で、「休みたいなら辞めればよい」と発言したとされる日本電産の永守重信社長を強く批判した。高木会長は「言語道断。労働基準法が雇用主に何を求めていると思っているのか」と、同社長の姿勢を非難。大会に出席していた舛添要一厚労相は「きちんと調査する」と応じた。

舛添厚労相「きちんと調査し、指導すべきは指導する」

永守社長は4月23日の記者会見で

「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
と発言したと報道され、論議を呼んだ。この「経営最優先」の発言については、高木会長も労働団体のトップとして黙っていられなかったようだ。

高木会長は、「仕事と生活の両立」を指す「ワーク・ライフ・バランス」の必要性を強調する中で、反面教師として日本電産社長の発言に言及。「休みたければ辞めればいい」発言については「この会社の時間外・休日労働の実態を調べてみたい」とした上で、「休日返上で働くから成長できる」との発言に対しては

「まさに言語道断。労働基準法という法律があることを、また、労働基準法が雇用主に何を求めていると思っているのか、どのように認識されているのか。ぜひ問いただしてみないといけない、そんな怒りの思いを持って、この日本電産のニュースを聞いたところであります」
と憤りをあらわにした。

これに対して舛添厚労相は、直後の来賓あいさつで

「労働関係法令はきちんと遵守してもらわないといけない。きちんと調査し、指導すべきは指導し、法律にもとるものがあれば厳正に処分する」
と応じた。

「非正規労働はホームレス問題と直結」

この日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれたメーデー中央大会には約4万5000人が参加(主催者発表)。中央大会に続いて、パートや派遣など非正規労働者の待遇改善を求める「非正規労働メーデー」も開かれた。

「ワーキングプアの反撃」などの著書で知られる作家の雨宮処凛(あまみや・かりん)さんと高木会長がトークライブに臨み、「非正規労働の問題は、ホームレスの問題と直結している」などと訴えた。

雨宮さんは

「非正規労働についての取材をしていると、今(非正規雇用で)起こっている問題は、ホームレスの問題と直結していることがわかります。ちょっとした怪我や病気で契約を切られてしまって、すぐに収入がゼロになってしまう。雇用形態によって、生存が脅かされる状況になっています」
と、非正規労働者がちょっとしたきっかけで「ネットカフェ難民」に転落しがちだと指摘した。

一方、高木会長は「連合は、正規労働者しか守ってこなかったのではないか」と問う声があることについて、これまでは非正規労働者への取り組みが不十分だったことを認めた。その上で「主犯は経営者、従犯は労働組合」との認識を示し、経営者の姿勢をただしていく構えを見せた。
 当方としましては、以前の記事でも書いたとおり、適切な休息こそが効率的労働に不可欠であるのは人間も機械も同じという観点から、「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」というこの発言については批判的立場をとります。

 ところで、コメント欄に以下のような書き込みがありました。
経営者の本音なんてこんなもんだ。
休みなしでもいいが、その分給料は支払うつもりがあるならともかく、休みなしで働け!金も出さん!というのであれば、奴隷制度そのものだよな。
 いえいえ、奴隷制度とはかなり違いますよ。
 奴隷というのは、多くは主人が奴隷商人から買い取った「所有物」である以上、その生存は保障されています。確かに頭の悪い奴隷所有者なら、休みなしで働かせるでしょうが、ある程度、考える頭のある奴隷所有者なら、どれだけ長く奴隷を「保たせる」かというのを考えるので、ある程度の「メンテナンス」をします。所謂古代の「奴隷」というのは、現代で言うところの「製作機械」です。

 一方で労働者は、仕事のあるときだけ雇い入れられる。そして、雇用期間以外の暮らしについては全くのノータッチであり、これは主人の「所有物」である奴隷とは異なります。もちろん、労働者は使用者の所有物ではないので、雇用期間以外の暮らしについてノータッチであることは当然ですけど。

 ですから、労働者というのは、ある意味において奴隷よりも劣悪な環境にいると思うのですが、どうでしょうか。
posted by s19171107 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

光市事件:まだ続く意味不明な場外乱闘

(もう5回目くらいの繰り返しになりますが、先日の光市事件差し戻し控訴審については、変な先入観などを抱かないために、判決分析が終わるまで報道や世論などを一切みないように努めていたのですが、ひょんなことで以下の報道を「目にしてしまいました」ので、これに関してだけは、例外的に判決分析完了前に書きます)
http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080426/its0804260042000-n1.htm
 青山学院大学(伊藤定良学長、東京都渋谷区)は25日、同大学の教員が個人HP(ホームページ)に記した記述が不適切だったとして、学長名義での謝罪文を大学HPに掲載した。

 問題となった記述は、国際政治経済学部の瀬尾佳美准教授(環境経済学)の個人HP内のもの。この中で「私は死刑廃止論者ではない」としつつも「少年に対する死刑には原則反対」と主張、山口県光市の母子殺害事件で殺人や強姦致死などの罪に問われた元会社員の被告(27)=犯行当時(18)=に死刑を科すのは重すぎるとして、「最低でも永山基準くらいをラインにしてほしいものだ。永山事件の死者は4人。対してこの事件は1.5人だ」「まったくの個人的意見だが赤ん坊はちょっとしたことですぐ死んでしまうので『傷害致死』の可能性は捨てきれないと思っている」などと持論を展開した。

 さらに、被告弁護団に対する懲戒処分請求を呼びかけた現・大阪府知事の橋下徹弁護士について「大阪府知事なんかエロノックだって務まったくらいですから誰でもかまいません。ま、人間の廃物利用ってところでちょうどいいじゃないですか」と述べたり、差し戻した最高裁の判事の妻について「おそらく専業主婦で、TVばっかり見ていたため洗脳され、夫の仕事にも影響したのだろう」などと書き、ネット上で批判の声が上がっていた。

 この騒動を受け、伊藤学長は「当該教員の記述は適切でなく、また関係者のみなさまに多大なご迷惑をおかけしたことはまことに遺憾であり、ここに深くお詫び申し上げます」と謝罪、「今後このようなことが繰り返されることのないよう努めてまいります」とする声明を大学HPに掲載した。
 本件は、当ブログでも4月25日づけ現代日本の文化大革命的熱狂にて取り上げた『おいしいものが食べたい』さんのブログ記事が発端であるようです。

 私も問題の記事にトラバを送った関係上、件の記事は一応読みました。瀬尾准教授が、光市事件被告人に対して死刑を科すことに反対する理由のひとつとしてあげていた「日本では18歳になっても選挙権がないから。選挙権もないのに、義務だけあるのは気に入らない。」という視点については、私も一考の価値があると思いますし、「国が死刑という形で犯す殺人には、熟慮が必要」という主張や、あるいは下記主張には、全く異論ありません。当ブログにおいても、チュチェ96年10月8日づけ裁判:署名で罪が決まるときをはじめとして、再三、主張してきたことであります。
 刑事事件の場合、遺族感情が量刑に影響するのには違和感がある。遺族感情が激烈でテレビの前で泣き喚けば罪が重く、タネ馬として用済みになっちゃったそのへんのお父さんみたいに、殺せば家族から礼状が届くような場合なら罪が軽い・・なんて刑事としてはおかしくないか?民事なら別だ。民事なら価値の高い人を(交通事故とかで)殺せばそれだけ賠償額も大きくなる(専業主婦なら安くて済む、本当)。が、刑事の場合は、家族なんかあってもなくても、一人を殺したら同じ刑にすべきではないのか。
 一方で、「対してこの事件は1.5人」という、本場外乱闘でも殊のほか叩かれているくだりについては、乳幼児は簡単に死んでしまうので、乳幼児に対する「殺意」については、成人に対する「殺意」よりも慎重に分析する必要があるという点についてはその通りだし、文脈的に、この「1.5人」のうちの「0.5人」というのは、恐らく「殺意可能性50パーセント」という意味での「0.5人」という意味であるように読めたんですが、それでも流石に「1.5人」という表現の仕方は、読み手の誤解を招く良くない表現の仕方かと。

 それはさておき、このように良い視点を持ちながらも、大切なところで、言わなくても良いようなことを書いたり、あるいは拙い表現をしてしまったがために、産経にまでネタにされてしまうくらい炎上してしまった瀬尾准教授の記事ですが、これ瀬尾准教授の個人ページでの出来事じゃないんですか? 小学生の問題行動じゃあるまいし、なんで青学の学長名義で大学サイトのトップページに謝罪文が掲載されるんでしょう。
 別の通信社の記事で読んだ覚えがあるのですが、なんでも、准教授個人ページでの出来事であるにも関わらず、青学の事務室に抗議電話が殺到したからだとか。青学トップページに掲載されている「謝罪文」の、いい具合にやる気の無い文面から見るに、おそらく、いくら学校関係者だからといって、准教授の個人ページでの出来事に関してまで大学の事務に電話かけてくるようなアホには、形式的にだけでも謝罪しとけば気が済むだろう、というような感じで書いたんでしょうね。
 そして日本人は、とにかく批判に対して「そうです仰るとおりです」と言っていれば「反省」したとみなす方々ですので、このような中身の無い完全な形式的謝罪でご満足するんでしょうかね。もしもし電凸抗議者さん?あんたらバカにされているんですよー

 ところで、本場外乱闘に対する「世論」として、以下のようなものがありました。
瀬尾の発言について
名古屋アベック殺人事件や
女子高生コンクリ事件並に 凶悪な犯罪・・・

光市母子殺害事件に対して瀬尾佳美の ブログでの心無い言葉の数々
私たちは決して忘れません
青山大学の品位を問います

公式発表をして処分なり、厳罰なりを与えてほしいです。
 昨今流行の「厳罰」です。しかし、この「厳罰」の目的って何でしょうか?社会に対して?社会に対しては迷惑かけていないでしょう。遺族に対して?遺族は何も言っていませんよ。勝手に「代弁」するな。
 昨今流行の「厳罰化」について、当方が極めて慎重な立場を取っていることは、当ブログを以前からご訪問いただいている方々におかれましては、ご存知かと思います。これは、余りに厳罰化に偏向すると逆に社会的不利益が起こる可能性があるからでありますが、それと共に、昨今の「厳罰化」志向は、その目的が何なのかいまいち判然とせず、単に気に入らない奴に対して苦役を科し、苦しむ姿を見て、黒い欲望を満たすためなのではないかという予感がするからであります。

司法関係関連記事一覧
http://www.geocities.jp/s19171107/DIARY/BLOGINDEX/saiban.html
posted by s19171107 at 11:10| Comment(6) | TrackBack(1) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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