当ブログは移転しました。詳細はこちらに掲載してありますので、ご参照ください。

2009年07月31日

立場としての「正義」「優位」は実務における「手段」と「内容」を絶対には正当化しません

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090731-00000559-yom-soci
>>> 阿久根市長、人件費張り紙はがした職員を懲戒免職
7月31日13時20分配信 読売新聞

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、市役所内に掲示していた職員人件費の張り紙をはがしたとして、40歳代の男性職員を懲戒免職にした。

 竹原市長は「行財政改革を支持する市民に対する挑戦的な行為」と説明しているが、職員は「処分は重すぎる」として市公平委員会に異議を申し立てる方針。識者からも「免職にする事案とは言えない」との指摘が出ている。

 市長はさらに、監督不行き届きとして、総務課長を文書訓告、市民環境課長と総務課長補佐を口頭注意処分にした。

 処分後、竹原市長は「人件費削減を公約としており、張り紙は公約実現の手段の一つとして行った。職員から提出された顛末(てんまつ)書にも反省は見られない」と説明。「市役所の指揮、命令機能の危機的状況を明らかにした。事件の重大性にかんがみ、処分することにした」と述べた。

 一方、男性職員はこれまでの取材に「張り紙があると職員が萎縮(いしゅく)し、ミスが増える。これでは市民のためにもならないと思い、はがした。免職は納得できない。まずは公平委員会に申し立て、処分の不当性を訴えたい」と話していた。

 市職員労働組合(203人)の落正志委員長は「法を犯しているわけではなく、軽微な事案。裁判闘争も視野に断固、処分撤回を求めていく」と話している。

 昨年8月の市長選で初当選した竹原市長は、自身のブログなどで職員の厚遇批判を展開。今年2月、市のホームページで268人の全職員の給与について、1円単位での公開に踏み切った。市議会との対立が深まった4月16日、「平成19年度の人件費総額16817万円(正規職員26名分)」など、市役所の各部署の出入り口に、2007年度の所属職員の総人件費などを記した紙を張り出した。

 しかし、翌17日、市議会が2度目の市長不信任案を可決し、竹原市長が失職した直後、すべての紙がはがされた。竹原市長が出直し市長選で再選後の6月上旬、男性職員が「自分がやった」と名乗り出た。

 市の懲戒処分は、戒告、減給、停職、免職の順に重い。市の基準によると、免職は公金横領や飲酒運転による事故などに適用し、退職手当は支給しない。2007年、飲酒運転で事故を起こした職員を懲戒免職にした例がある。市は、男性職員に対して賞罰委員会を6月に計2回開き、いずれも文書訓告が妥当との判断を示していた。

 鹿児島大の平井一臣教授(政治学)は「懲戒処分を行うには、男性職員の行為が市民の不利益につながったとの明確な理由が必要。市長が考える市民の利益に反したと言うだけで、懲戒処分を行うのは妥当ではなく、理解に苦しむ。一般的に考えても懲戒免職処分を行う事案だとは言えない」と話している。
最終更新:7月31日13時20分
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090731-00000050-mai-pol
>>> <阿久根市長>給与の張り紙はがした職員を懲戒免職
7月31日13時43分配信 毎日新聞

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、市役所各課に掲示した職員給与総額張り紙をはがした男性係長(45)を同日付で懲戒免職処分にすると発表した。市の賞罰委員会は「文書訓告が相当」と市長に報告していたが、竹原市長は「自ら判断した。懲戒免職は妥当で重過ぎるとは思わない」としている。係長は市公平委員会に処分取り消しを申し立てる構え。市職労は「あまりに厳し過ぎる処分。取り消しを求める」と強く反発している。

 「張り紙」は竹原市長が職員人件費の高さをアピールするため、4月16日、各課ごとの給与総額を記した張り紙を各課窓口に掲示させた。総務課には「総務課平成19年度人件費総額16817万円(正規職員26名分)」などと記した。

 市長が議会の不信任案再可決で失職後の4月18日、すべてはがされ、同20日に再掲示された。5月の出直し市長選で再選した竹原市長が「張り紙をはがした者は名乗り出るよう」求めたところ、係長が6月、名乗り出た。

 竹原市長は処分理由を「市長失職中であっても市長の命令は有効。それに違反したのだから処分した」としている。

 係長は31日、記者会見に応じ「張り紙をはがして世間を騒がせたことは軽率な行為だったと思う。しかし懲戒免職に該当するほどの行為とは思っていません」と話した。【馬場茂】

最終更新:7月31日14時13分
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 なんというか、「この手の方々」の言い分と手口の典型的なところをやってくれますねえ。すなわち、「市民に対する挑戦的な行為」と称して、「市民」を引き合いに出し、「その市民から信任されたオレの決定は絶対」といわんばかりの勢いで、識者も首を傾げるような極端な処分を出して威圧する。

 この手の思考回路の何が問題かって、「正義」と行かないまでも、少なくとも「優位」の側に立つ人が、その「優位」をいいことに己の思想の全て、行動の全てがあたかも絶対的・普遍的に正しいかのように振舞うというところだと考えます。たとえば本件は、確かに、日本は国政・地方自治共に間接民主制をとっている以上は、主権者たる国民・住民の決定は、少なくとも「優位」です。ということはすなわち、その国民・住民が、ある個人を首長として信任するという決定も「優位」であるし、その信任された個人の、信任に基づく業務もまた「優位」です。ですが、いくら「優位」の決定だからといって、さすがに本件みたいな事案に対して懲戒「免職」処分を課すのはどんなもんかというのは、疑問に思わざるを得なかったりします。(失職した市長の命令の有効性というのも論点なのかもしれませんが、そこまで法律に詳しくない私は、その辺の法的事情は知りません)つまり、立場としての「正義」「優位」は、実務における「手段」と「内容」を絶対には正当化しないのです。

 もっとも、こういう思考回路は本件に限らず、刑事裁判においても良く見られます。すなわち、「”犯罪者”は”悪”であるから、どんな刑罰を課しても良い。刑罰は”正義の制裁”だからだ。」という思考に基づく、犯行に対して2倍・3倍の刑罰を求める「世論」の典型的な反応です。

 「正義の味方」と「悪の権化」という、幼稚園生や小学校低学年むけのヒーローショーみたいな善悪単純二分法も、現実はそんなに単純にできていない以上は、こういう見方は問題の本質を見誤るという点において十分問題のある思考回路ですが、それ以上に、「”正義の味方”ないし”優位”は絶対的な正当」という思考回路は、問題というよりは危険であるとすら言えるのではないでしょうか。

 追記
 そういえばAML閉鎖のときも、「元はといえばあっちが悪い」の「正義」を盾に、いくらなんでも勘弁してくれよという「糾弾」が原因だったんだっけ。
posted by s19171107 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月30日

因果応報趣味にはカネがかかります

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090728-00000025-jij-pol
>>> 最低賃金上げ、12都道府県に限定=「逆転」解消期限を延期−厚労省審議会
7月28日9時1分配信 時事通信

 最低賃金(最賃)の目安を協議する中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は28日、生活保護の水準を下回る「逆転現象」が起きている12都道府県に限り、2009年度の最賃(時給)を2〜30円引き上げると決めた。経済情勢の悪化を受け、ほかの35県は「現行水準の維持が基本」として据え置いた。一部の都道府県だけ引き上げるのは初めてという。
 全国平均の引き上げ額は7〜9円で、過去最大だった前年度実績(16円)から大幅に縮小する。この結果、全国平均の時給は710〜712円になる。29日の中央審で正式決定した後、各都道府県の審議会の決定を経て10月1日からの適用を目指す。
 昨年施行の改正最低賃金法は、逆転現象を最賃底上げにより解消するよう規定している。小委は景気悪化で全国の賃金上昇率が5年ぶりのマイナスになったことなどを考慮。引き上げ額は当初の計画より大幅に減額し、解消期限も一部延期した。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090728-00000111-jij-bus_all
>>> 不況で都道府県に「格差」=底上げ、経済活性化不可欠−最低賃金
7月28日17時0分配信 時事通信

 今年度の最低賃金(最賃)をめぐる中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の協議は28日、生活保護のレベルを下回る「逆転現象」が起きている12都道府県の最賃を引き上げることで決着した。ただ、ほかの35県は経済情勢の悪化を受けてゼロ水準にしたため、都道府県で「格差」が付く形になった。
 金融危機による倒産増加などで完全失業率が急上昇する中、最賃の決定に大きく影響する全国の賃金上昇率も、今年は過去最低のマイナス0.2%になった。それにもかかわらず、審議会が一部の引き上げを決めた背景には、昨年施行の改正最低賃金法が逆転解消を求めていることがある。
 解消対象の都道府県は、東京、神奈川、大阪、京都、兵庫など、大都市を抱え最賃水準がもともと高いところが多い。一方、最賃が全国最低の沖縄、鹿児島、宮崎は、最高の東京、神奈川(766円)に比べ、昨年度の時給で139円低い。
 今年度は最低の3県が引き上げられず、東京、神奈川は20〜30円アップするため、差はさらに広がる。ワーキングプア(働く貧困層)には最賃水準で働く人が少なくないだけに、今後は格差是正と経済活性化を求める声が、地方からも強まることは確実だ。
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 コメ欄。
>>> 労働環境を現状維持して最低賃金を上げられない中小企業の
リストラ、労働時間圧縮が進むだけ。

生活保護の方を下げようと思わないのか?
下げなくてもいいが、生活保護対象の基準をもっと
厳しくしろよ。

いい加減な理由の母子家庭とか朝鮮系が多すぎる。
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>>> 保護費の削減が優先されるべき。
あるいは、両方の同時進行であるべき。
生活保護費の算出方法が間違ってると考えもしないのか?
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>>> 生活保護のレベルを下回る??
働いて生活保護者より低いレベルなら働かないわけだ・・・
ちゃんと生活保護者を審査・監視してるか?
嘘ついてる人、結構いるぞ。。。
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 さて、どうしたもんですかねえ。この手の言説に対しては突っ込みどころが多すぎ、どこから指摘すれば良いのか困るし、さすがの私も全てに対していちいち相手をしているほど暇でもないので、今回は2点に絞って考えて見たいと思います。

 まず第一に、前掲「世論」の前2つに関して。すなわち、「世論」が、単純に生活保護と最低賃金の2つを比較しているだけで、まともな生活に足る賃金との比較という本質的な比較をしていない点に関して。

 うーん、わざとなのかガチなのかちょっと判断に苦しむところがありますが、とりあえずガチであると判断するならば、なんでこんなに頭使わないんだろうと疑問にすら思うほどです。まあ、「生活保護」という単語を文の最初のほうで見て、何らかの思考停止が起こったんでしょうね。どういう思考停止なのかについては、今回の資料だけでは判断しきれないので、今後の研究課題としたいと思います。

 第二に、前掲「世論」の最後の、すなわち、生活保護受給に対する監視強化を主張する言説に関して。これに関しては本件に限らず、生活保護制度に対する言説の主要なものとしてよくみられると思います。おそらく、「アリとキリギリス主義」的な因果応報趣味者である日本人の「感覚」によく合致するものだからだと考えます。

 もちろん私は因果応報的な考え方、そしてそういう思考に基づく社会システムを全面的に否定するものではありません。しかしながら、日本人の場合、ちょっとその度合いが行き過ぎているように感じます。すなわち、今回のような「生活保護受給に対する監視の更なる強化」というのは、確かにそれによって不正受給は減るでしょうが、それ以上に、本来受給できて然るべきであるにもかかわらず「締め出されている」状況の方が、今以上に増えることは想像に難くありません。さらにいえば、主張されているような、細かい調査を必要とする措置を取るには、当然ながら、今以上にたくさんの人員が必要であり、それはすなわち、莫大な人件費が必要となることを意味しています。もしかすると、場合によっては今のレベルの監視体制における生活保護関係の予算よりも、監視員増員に伴う人件費・諸費のほうが高くつくかもしれません。にもかかわらず、この手の言説は、その辺に対する思考に殆ど及んでいないのではないかと感じざるを得ません。

 もっとも、この「因果応報趣味を満たすための費用無視」現象は、生活保護関係の「世論」に限りません。たとえば、昨今の刑事事件に関する「厳罰化」の傾向もまた、「因果応報」「勧善懲悪」に基づく受刑者に対する長期懲役を求める声が非常に強い一方で、その「因果応報・勧善懲悪趣味」を満たすための諸費、特に絶対に必要不可欠な「刑務官の人件費」に対する思考が全く及んでいません。ちなみに今現在においても刑務所は定員オーバーです。

 29日づけ「純潔趣味」において、己の純潔趣味を満たさんがためにぶっ飛んだ結論を導いてくださる「純潔趣味者」について取り上げましたが、これもまた「因果応報趣味者」「勧善懲悪趣味者」のぶっ飛んだ結論ということになるんでしょうね。
posted by s19171107 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月29日

純潔趣味

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090726-00000534-san-soci
>>> 墜ちたスポーツマンシップ AV出演する体育会系学生たち
7月26日18時11分配信 産経新聞


 【衝撃事件の核心】

 大阪経済大学(大阪市東淀川区)ラグビー部員、OBと立命館大(京都市)アメリカンフットボール部員が過去にアダルトビデオ(AV)に出演したことが相次いで明らかになった。伝統ある体育会系クラブで発覚した風紀の“汚染”は、学生スポーツ界に大きな波紋を呼んでいる。大経大によると、学生らが出演していたビデオは、いわゆる「ホモセクシュアル」な内容だったという。大学スポーツで鍛え抜いた体は、特定のマーケットで根強い人気があり、学生たちの間で「お金になるバイト」としてひそかに広がっていたという。

 ■保護者らからメール40件

 大阪経済大ラグビー部員のAV出演は、7月10日に同大で開かれた会見で明らかになった。大経大では、1日にラグビー部員3人が大麻取締法違反(譲り受け)容疑で逮捕されており、この日の会見では、不祥事を受けて、ラグビー部の活動を無期限停止処分にすることが発表された。が、現場に集まった記者の関心は、新たに発覚したAV出演に移り、質問が集中した。

 「何年の何学部か?」

 「何本のビデオに出たのか?」

 「何本出荷されているのか?」

 大学によると、AV出演発覚は、学生の保護者からとみられる1本の電話がきっかけだった。「学生がAVに出ているのではないか?」。電話があったのは7月3日。その後は、続々と同様の事実確認や不安を訴えるメールが寄せられ、その数は40件に上ったという。

 報告を受けて、大学側はただちに事実確認に着手。出演ビデオの存在を把握したあと、8日、出演した学生のヒアリングを行い、口頭で注意(叱責)したという。学生の話によると、出演は2年ほど前で、4人が同一作品に出たのではなく、別の作品に出演していたらしい。OBは現役時代に出演していた。

 ■金欲しさから出演

 創部70年以上の歴史あるラグビー部だけに、風紀の乱れは衝撃的だった。といっても、いわゆる違法行為、事件とは異質な案件であるため、会見に出席した重森暁学長、木村俊郎学生委員長の歯切れは悪かった。

 −出演しているビデオを見られたのか

木村委員長「ビデオのパッケージですか、表紙がありますね、あれで確認はしております」

 −AVという定義づけが、わいせつをどう認識するかということによって違うかとは思うのですが、いわゆる性行為を描写する内容だったのか

 木村委員長「男性同士の、ホモセクシュアルな…です」

 −ホモセクシュアルの、いわゆる性行為の描写ということですね

 木村委員長「……中身までは確認をしておりません」

 −大学としてはどのようなとらえ方なのか

 木村委員長「大学としては、ビデオについては刑事上の問題はないかとは思います。条例の問題なんかもありますし確定はしておりませんが、刑事上の問題はないと。ただ、今回問題になりましたのは、学生の本分ということで、検討を始めたということです」

 −学生の処分は

 木村委員長「2人の学生については叱責(しっせき)です。処分ではありません」

 −叱責とは

 重森学長「厳重注意です」

 −出演した動機は。お金が欲しかったということですか

 木村委員長「まあ、そうです」

 ■氷山の一角か?

 今回のラグビー部活動の無期限停止処分については、「かなり厳しい処分」との見方もある。木村委員長は「今後クラブが健全な形で展開していくことを見守りながら判断を出したいということで、無期ということになりました。競技力の向上だけでなくて、アスリート精神に還るということについてもう少し時間をということで…」と理由を説明した。

 体育会系学生のAV出演では、立命館大(京都市)のアメリカンフットボール部員の4年生男子学生が過去に出演したとして、退部処分になっていたことも7月12日に発覚した。同大広報課によると、部の関係者が6月14日、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に男子学生が出演していたとする書き込みがあるのを発見。本人に確認すると「1年生の時に計6本出演した。金になるアルバイトとしてやってしまった」と認めたため、6月15日付で退部処分とした。

 大経大、立命館大…。相次ぐAV出演に、「明らかになったのは氷山の一角に過ぎない」と指摘する関係者もいる。

 ■人気の「ガチムチ系」短時間で数万円のバイトに…

 それにしても、なぜ、体育会系の男子学生のAV出演が目立つのか。事情通によると、ホモセクシュアルなビデオは通常のAVより数は少ないものの、古くから特定のマーケットが存在するという。美少年系、体育会系などさまざまなジャンルが存在し、体育会系の中でも特に体格のいい選手の多いラグビー、アメフット部に所属する学生は、「ガチムチ系」と呼ばれ、人気が高いのだという。 

 インターネットなどで出演者を募集するケースもあり、出演内容にもよるが、数時間で数万円の報酬をうたっている。保護者や教育者の知らぬところで、学生たちは金欲しさのあまり「軽い気持ち」で“危ないバイト”に出てしまったのだろうか。

 「アスリート精神の自覚、高揚とそれに向けての相互研鑽(けんさん)が不徹底」 

 大経大は、AV出演を含めたラグビー部の処分理由について、こう断じた。大学スポーツを志す者のモラルが今、改めて問われている。
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 「スポーツマンシップ」とか「アスリート精神」なんてまるで分からない私ですが、先日も書いたように、「相手」が存在する問題において、自分の視点、自分の思考回路のみで物事を考えた場合に行き着く先は「モンスター」なので、本件についても私は、彼らの理論と思考回路を理解しようと必死に努力したつもりなのですが、結局いまいち理解できませんでした。特に、本記事は大阪経済大学のラグビー部員のAV出演”問題”を取り上げているにもかかわらず、なぜか同大学同部部員が大麻取締法違反容疑で逮捕された件について記者会見する同学学長の写真が挿入されている点、「関連記事」の欄に先日の京都教育大学学生の集団強姦事件がなぜかリンクされている点、ますます理解に苦しむ次第です。いやあ、大麻・集団強姦とAV出演は、前者は犯罪行為である一方で後者は風紀上の問題なんだから、次元が全く違うだろうよ。

 しかし、産経が一枚噛んでいる点を含めて考えると(本来は余り好ましい分析方法じゃないんですけど)、結局これって、例によって純潔趣味な方々の「業績」ということになるんでしょうな。いやはや、なんというか。こういう思考回路って、結局、セックスワーカーの方々を一段低く見る思考回路と根底においては同じものがあるんでしょうし、また、本件もそうだし、あるいは児童ポルノ単純所持規制問題においてもそうですが、純潔趣味な価値観を最優先するがために、実際の運営上の問題点や手続きにおける正当性を完全無視することをはじめとした、もろもろのぶっ飛んだ反応を見せてくれることにもつながるんでしょうな。本件なんて、人一人をスポーツマンとして生かすか殺すかというときに、「中身までは確認をしておりません」とか堂々と言っていますし、先にも書いたとおり、犯罪行為と風紀問題を同列に扱う、まともな感覚なら絶対にやらないようなサプライズな反応をみせてくれるんですから。

 「純潔趣味な価値観を最優先する」といえば、先日はこんなこともありました。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090702/trl0907021323006-n1.htm
>>> レンタルお姉さん号泣 同名ポルノ映画に配給差し止め仮処分申請
2009.7.2 13:20

「レンタルお姉さん」のポルノ映画流用に記者会見するNPOニュースタート事務局のレンタルお姉さん 引きこもりの社会復帰を支援する「レンタルお姉さん」の名称が、ポルノ映画のタイトルにそっくりそのまま流用されたとして、“お姉さん”を派遣するNPO法人が映画配給差し止めの仮処分申請を決定。1日会見したお姉さんたちは「誇りにしていた名前を地に落とした」と号泣した。

 「レンタルお姉さん」は、引きこもりやニートを抱える親からの依頼を受け、20−30代が中心のお姉さんたちが手紙や電話、家庭訪問を通じて子供たちの心を開き、社会復帰を目指すというもの。NPO法人「ニュースタート事務局」(千葉県市川市)が1998年から訪問活動を開始。2007年にはNHKドラマ「スロースタート」で水野美紀(35)がお姉さん役を演じ、今月には「レンタルお姉さん物語」(比古地朔弥著、扶桑社)で漫画化されるなど、注目されている。

 だが先月、都内の劇場で「レンタルお姉さん 欲望家政婦」(姫川りな主演)が上映されていると事務局に連絡があり、ポルノ映画のタイトルとして使われていることが発覚した。

 映画は06年11月公開。配給元の新日本映像サイトによると「そんじょそこらの家政婦さんとは一味も二味も違う」という「スーパー家政婦」が掃除、洗濯はもちろん、下半身の世話までこなすストーリーで、本物とはまったく関係ない内容。

 事務局側弁護士によると「レンタルお姉さん」の名称は06年5月に商標を出願し、07年11月に登録された。それ以前に複数のメディアで紹介されており、「名称は周知されている」という。そのため、来週中にも東京地裁に配給差し止めの仮処分を申し立てる。上映中の映画館やネット配信、DVD化は「確認できていない」としている。

 1日午後、都内で会見したレンタルお姉さんの吉田寛子さん(26)は「私は中学時代にひきこもりとなり、絶望の中に生きる気持ちは当事者としてよくわかる」と自らの過去を明かしたうえで「実際の活動とは、かけ離れたイメージで憤りを感じる。レンタルお姉さんの名を地に落とした」と訴え、号泣した。

 大栗彩子さん(30)も「活動は大変だが、誇りを持っている。このような使われ方をされると支援ができなくなる」と話した。

 新日本映像は「(仮処分申請は)今、初めて聞いた。詳しいことがわからないのでコメントできない」と話している。
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 NPOのほうの「レンタルお姉さん」は、その余りほめられたことではない側面に関する言説も含めて、知識として知っていたことには知っていましたが、映画のほうについては今回はじめて知りました。大多数の方々におかれましても、今回、NPOのほうがこうして問題にしてくれたおかげで、映画のほうの存在を知りえたわけではないでしょうか?

 NPOのほうは大層お怒りのご様子ですが、そもそも、NPOのほうの活動をもじったような内容ならまだしも、「本物とはまったく関係ない内容」って、それってつまり「全くの別物」ってことなのでは? また、おそらく大多数の方々が本件を通して初めて知った本映画なんて、黙っていれば少数の物好きが観るだけの「知る人ぞ知り、知っている人は皆、観賞経験者」という超マイナー映画になるはずだったはず。そして、「本物とはまったく関係ない内容」ならば、数少ない観賞経験者ならば、NPOのほうとは全く関係ないことも理解できるということになるはずなので、誰も混同することはなく実害は無いと思うんですがねえ。それとも、こっちもこっちで当人たちは内容は見ておらず、「本物とはまったく関係ない内容」というのは記者の観賞経験から書かれた?

 以上のような本件の背景に対する分析に、NPOのほうの「号泣」会見の内容を含めて考える限り、商標云々言っていますが、結局これって映画がポルノであることが気に入らないということなんでしょうね。というか、それ以外に解釈できないわけですが。これ、映画のタイトルが「レンタルお姉さん」じゃなくて「レンタルお母さん」とか「レンタル妹」だったらNPOのほうはどういう反応を見せたんでしょうね?

 世の中、名前は何となく似ているけど内容は全く違うパチモンはあふれかえっていますが、本家のパチモンに対する対応において、これほどまでの反応が見られるのが決まって「性」絡みというところを見ると、やっぱり純潔趣味な価値観はずいぶんと浸透しているんだなあと感じます。SNYがSNYに対して号泣会見したなんて聞いたことありませんからねえ。

 ちなみに、念のために書いておきますが、商標の問題は、しかるべき法律的解決が必要であることは言うまでもありませんよ。
posted by s19171107 at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月26日

悠長な「対策」を言う人の危険性

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090724-00000036-mai-bus_all
>>> <経済財政白書>正社員と非正規雇用者の格差拡大認める
7月24日10時57分配信 毎日新聞

 林芳正経済財政担当相は24日の閣議に09年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書は昨秋以降の世界経済の急減速と、非正規雇用を中心に失業者が増加した状況などを分析。非正規雇用者が全体の3分の1まで増加し、正社員との生涯所得の差が約2.5倍となるなど「格差が拡大している」と認めた。さらに、企業が余剰人員として抱えている「潜在的失業者」が最大607万人に達し、80年以降で最悪になっていると推計。生産が回復しなければ雇用調整がさらに進みかねないとした。

 日本経済の状況について白書は、07年11月から緩やかな後退局面入りし、08年9月のリーマン・ショック以降、輸出や生産が落ち込み、景気は過去に例のない「速さ」で悪化したと説明。景気後退の「深さ」も歴史的だったとの見方を示した。

 また、公共事業の前倒しや家電製品のエコポイント制度などの政策効果で、足元は「持ち直しの動きがみられる」としたものの、(1)雇用情勢の悪化(2)デフレ懸念(3)海外経済の下振れ−−の三つのリスクが残っているとの認識も示した。

 雇用面では、非正規雇用者の失業リスクが依然高く、格差が一段と拡大する懸念があるとして、社会保障など安全網拡充の必要性を強調。同時に、景気回復こそが「最大の格差対策」と訴え、輸出に頼るだけでなく、個人消費など国内需要にも軸足を置いた回復を目指すべきだとしている。

 税や社会保障による所得の再分配機能については、日本は他の先進国よりも低い水準にあるとした上で、「高齢者層にしか働いておらず、現役世代にはほとんど再分配されていない」と指摘。所得税の減税効果が及ばない低所得者に現金を給付する「給付付き税額控除」の導入などにより、現役世代の格差縮小を図るべきだと提言した。【上田宏明】
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 1か月くらい前に労働白書が「非正社員の正社員化」を示しましたが、今回の経財白書を見る限り、正社員も正社員で決して安泰ではなく、非正社員を正社員にしたところで本質的な解決策には至らないことが(改めて)分かります。

 今回はコメント欄ではなく、日本共産党の反応について。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-25/2009072501_04_1.html
>>> 2009年7月25日(土)「しんぶん赤旗」

経済財政白書
雇用607万人「過剰」
大企業の削減姿勢を不問


 企業の「過剰雇用」は600万人に拡大し、企業は雇用の大幅削減に重点を移す―。林芳正経済財政担当相が24日の閣議に提出した2009年度の年次経済財政報告(「経済財政白書」)は、雇用環境が一段と悪化する懸念があると分析しました。

 白書によると、企業の生産水準から見た「過剰雇用」が1〜3月期に全産業で最大607万人、うち製造業で最大369万人に拡大したと推計。「生産の迅速な回復がない場合、(企業の対応は)労働時間削減から雇用者数の大幅削減へ重点が移る」としています。

 格差問題をめぐり、非正規社員の比率が全労働者の3分の1にまで上昇したことなどを背景に「拡大傾向は続いている」と分析。労働所得の格差拡大は、雇用の非正規化がその主因だとしています。特に、02年から07年にかけて、製造業などで正社員を削減し、派遣社員を増加させる動きが目立ったと指摘しています。

 白書の分析からも、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせ、非正規社員を正社員にすることが緊急の課題であることが改めて分かります。

 ところが、白書は「雇用保護規制が厳しいと、非正規労働への依存が高まり、平均失業期間が長期化する」「景気回復こそが最大の格差対策」などと結論付け。雇用を守る体力はあるのに、人減らし・リストラに走る大企業の身勝手な言い分にそった形で、規制強化に反対する姿勢を示しています。
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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-25/2009072502_01_1.html
>>> 2009年7月25日(土)「しんぶん赤旗」

主張
最低賃金
貧困打開に大幅引き上げを


 全国の最低賃金決定の目安を決める、中央最低賃金審議会の検討が大詰めを迎えています。

 まじめに働いても生活できない「ワーキングプア」(働く貧困層)をなくすために、最低賃金の大幅な引き上げが求められている一方、財界などは不況を口実に、引き上げを見送る策動を強めています。労働者に対する最低生活の保障さえ考慮に入れないものであり、賃金の抑制は家計の消費を冷え込ませ、不況をいっそう深刻にします。不況のときこそ、最低賃金の引き上げが不可欠です。

生活権の保障のため
 最低賃金とは、国が最低賃金法にもとづき賃金の最低額を決めるもので、企業はそれ以下の賃金では労働者を働かせてはならないことになっています。全国平均の目安にもとづき、都道府県ごとの地域最賃や産業別最賃が決められます。昨年7月に施行された改正最低賃金法は、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、少なくとも生活保護水準は下回ってはならないことを定めています。

 昨年はこの基準にもとづいて、最低賃金は全国平均で16円引き上げられ、時給703円となりました。もちろん、引き上げられたといっても703円では1日8時間、月22日間働いても月給は12万3728円、年収は148万4736円にしかなりません。年収200万円以下の「ワーキングプア」の水準です。最低賃金を、全国一律で時給1000円以上にというのは、生きていくうえで、切実で当然の要求です。

 しかも厚生労働省によれば、都道府県ごとの地域最賃は、東京や神奈川など少なくとも12都道府県で、それぞれの地域の生活保護基準を下回っています。生活保護基準との整合性を定めた改正最賃法にさえ違反しているのは明らかで、最低賃金の大幅引き上げは、この面でも待ったなしの課題です。

 財界や一部の経営者がいうように、不況だから最低賃金を抑えるというのは、労働者の生活権保障をうたった最低賃金の趣旨に照らして、とんでもない暴論です。時給703円という低賃金や生活保護基準さえ下回るという水準が、「健康で文化的な最低限度の生活」に値しないことは明白です。

 財界・大企業は、不況の中でもためこんだ内部留保は確保し、株主への配当は続けています。それにもかかわらず、労働者を切り捨て、賃金も抑え込もうというのは、犠牲はすべて労働者や下請けに押し付け、自分たちだけは生き残ろうという身勝手なものです。

 昨年来の不況は、一部の大企業などでは「底を打った」などといわれていますが、雇用の悪化は歯止めがかからず、個人消費はなお低迷しています。最低賃金を引き上げ、労働者のふところを温めることこそ、内需を拡大し、景気を回復軌道にのせていくために欠かすことができません。

ルールある経済社会
 最低賃金は世界各国で実施されていますが、欧米では相次いで引き上げられており、日本は最低水準です。最低賃金の引き上げは、日本に、人間らしい労働のルールをつくっていく上でも重要です。

 最低賃金の引き上げを実現し、いまこそ労働者の生活と権利をまもる、「ルールある経済社会」を築いていくことが求められます。
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 確かに、この問題を解決するためには究極的には日本共産党の言うように、「ルールある経済社会」をつくることが必要な点に関しては異論はありません。しかしながら、企業が「はいそうですか」といってホイホイと協力するわけないことは考えるまでもなく分かることです。つまり、「ルールある経済社会」をつくるには相当な時間がかかるということです。

 しかし、当たり前のことですが、失業と生活苦の問題は今この瞬間にも起きている問題であり、そして刻一刻、深刻化している問題です。一刻の猶予も許されない問題です。にもかかわらず、おそらく日本の中でも数少ない「労働者の視点」に立っている(自称含む)団体である日本共産党までもが、悠長に「ルールある経済社会を!」なんて言っているというのが今現在の情勢です。

 経済政策を語る人たちの特徴、それも嫌な特徴として私は、彼らがしばしば「ooがxxになれば、そのうち均衡が達成されて問題は解決する」という悠長な言葉を使うところにあると思います。そりゃまあ確かに「そのうち」どうにかなるでしょう。しかし、「そのうち」はいつ来るのか。「そのうち」が来るまでの生活はどうすればよいのか(ケインズも似たようなことを言っていたような記憶がありますねえ)。

 もちろん、今回の日本共産党の「ルールある経済社会を!」という主張は、「そのうち均衡が達成する」という言説とは違いますが、悠長なことを言っているという点では同じです。私としましては、悠長なことを言って大した対策を考えようとしない「経済通」に対する批判として、ぜひ「そのうち」が実現するまでの対策を提案してほしかったところなんですが、ちょっと残念です。

 ところで何で日本共産党までもがこんな悠長なことを言っているんでしょうか。私としましては、あくまで一つの可能性に過ぎませんが、「現実」の「惨状」を解決するための「理想」を高く掲げすぎるがゆえなのではないかと考えます。

 もちろん、私は「理想」を掲げること否定するものではありません。しかし、余りに「理想」を高く掲げすぎ、そして「現実」が余りに悲惨すぎ、更に「理想」と「現実」のギャップが大きいと、何かあれば「そらみたことか、自分たちの理想が実現されればすぐにこんな問題は解決するんだ!ああすばらしいかな我が理想!」という思考にいたり、理想に対する執着を強めることになります。そうすると、「理想」の理想性・万能性が膨張するとともに、「理想」以外の「繋ぎの対策」に対する魅力が失われ、次第に「理想」以外の対策が思いつかなくなるのではないかと考えます。

 幸いなことに、日本共産党の掲げる「理想」というのは、比較的現実的な「理想」なので、「現実」とのギャップもそれほど大きくありませんが、これが現実離れした「理想」であった場合、理想家の「理想」に対する愛着は異常なレベルに達します。そしてこの異常な愛着は、「理想」実現のための強引な手段行使に対する心理的抑止を低下させることでしょう。その結果は、1975年4月から1979年1月までのカンボジア史を見れば明らかでしょう。

 こうやって考えると、日本共産党の今回の反応は「残念」で済まして良い反応ではないかもしれません。
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2009年07月24日

「小学校低学年」どうしの争い

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090723-00000862-reu-int
>>> クリントン米国務長官は「粗野」で「教養がない」=北朝鮮
7月23日18時0分配信 ロイター

 [ソウル 23日 ロイター] 北朝鮮は23日、先に同国を「手に負えない子ども」などと評したクリントン米国務長官について、発言内容が「粗野」で「教養がない」などと応酬した。
 北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)は、同国外務省スポークスマンの話として「彼女(クリントン長官)は就任以降、行く先々で自身の立場にふさわしくない一連の粗野な発言を繰り返している」と伝えた。
 クリントン長官が先に放映された米テレビ番組で、ミサイル発射などの挑発行為を繰り返す北朝鮮を「注目を集めようとする手に負えない子ども」に例えたことについて、KCNAは「教養がないことを示すものだ」としている。また「国際社会の基本的なエチケットを知らず、こうした言葉遣いを用いることが好きなクリントン氏を、われわれはおかしな女性と考えざるを得ない。小学生のようにも見えるし、買い物に出かけた年金生活者のようにも見える」と痛烈に非難した。
<<<
 例によって(ry
>>> まともに反論できない北朝鮮、苦し紛れの声明ですね。クリントン長官の発言が、かなり
効果があることが証明されたようなものだ。

北朝鮮には”相手にせず、何もあげない。”これが一番だろう。
<<<
 そりゃ、「オレは武装してもいいけどお前はダメ」なんていう、そもそもそっちの方がどうなのよというようなこと言われれば、共和国が「まともに反論できない」のも仕方ないでしょうよ。まあ日本では共和国は「悪の象徴」であり、それにに対抗する日米は「正義の味方」であり、何をしても正しいということになっている(こういう思考回路は刑事事件をめぐっても良く見られますけど、いい加減こういう幼稚園生や小学校低学年向けのヒーローモノみたいな構図はやめませんか)ので、一歩引いた視点で考えることはできないというのは今に始まったことではありませんが、それにしてもねえ。

 ただ一方で、そういう国はいちいち相手にせずに徹底的に無視するというのも共和国の取りうる策のひとつのはずです。にもかかわらずいちいち反応してしまっている共和国政府を見ていると、なんかこっちもこっちで小学校低学年レベルに見えます(小学生って絶対に一言言わないと気が済みませんからね)。そう考えると、同じくコメント欄の以下の書き込みは、そうであるといえなくもないでしょう。
>>> 北朝鮮の応答こそ「粗野」で「教養がない」うえに「品がない」 <<<
 日本やアメリカが小学校低学年レベルの発想から脱するのは、その文化的環境から考えてたぶん無理でしょう(日米両国民ともに善悪単純二分法に基づく勧善懲悪物語が大好きですからね)けど、果たして共和国はいかに。
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2009年07月22日

リスク判断に際して忘れがちなこと

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090722-00000107-jij-pol
>>> 米国産牛肉に危険部位混入=再開後2例目、国内流通なし
7月22日17時54分配信 時事通信

 農水、厚生労働両省は22日、食肉加工・販売業者スターゼン(東京)の子会社が輸入した米国産冷蔵ばら肉などから、BSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位である脊柱(せきちゅう)を含む肉(約50キロ)が見つかったと発表した。2006年7月の同国産牛肉の輸入再開以降、危険部位の混入は2例目。問題の肉は港に到着した21日の検査で発見され、国内には出回っていない。
 米政府は日本に対し、牛肉輸入制限の撤廃を求めている。こうした状況での今回の混入は、両国間の交渉に影響する可能性がある。
 出荷元は、食肉処理業者クリークストーン・ファームズ・プレミアム・ビーフ社のカンザス州にある工場。日本政府は同工場からの輸入を停止し、米農務省に対して調査を要請した。農水省によると、日本の米国産牛肉輸入量に占めるクリーク社のシェアは6%前後と低く、外食産業やスーパーなどで品不足による混乱は起きないとみられる。
<<<
 例によってコメント欄。
>>> よく発見しました。
それよりアメリカはもっとしっかり検査しろ!
検査体制がなってないんじゃないか?
<<<
>>> 水際ギリギリセーフでしたが、
国民の健康、生命にかかわる事においては
アメリカのいいなりにならず、毅然とした態度でお願いします。
<<<
>>> アメリカにぺこぺこしてないで、輸入制限と検査の徹底化を強くさせて下さい。
検査を徹底出来ないなら輸入も認めないで下さい。
<<<
>>> 撤廃どころか、何故全面禁輸にしないのか疑問。
これも「たまたま」発見出来たからいいが、もし発見出来ていなかったらどうなっていたか。
おそらく、消費者の口に入っていただろう。
だから自分は米国産牛肉は絶対に買わないし、米国産牛肉を使用している店も絶対利用しない。
しかし、それでも100%防げているか、甚だ疑問だ。
(もちろん、それでも米国産牛肉を積極的に食べるより、リスクが少ないのは間違いない)

日本政府が米国の言いなりで機能していないなら、何故民間サイドで拒否しないのか。

牛丼を例に挙げると解り易い。
吉野家は米国産牛肉を使用し、安全だと言い張っているが、保障については一切言及していない。
一方、すき家は米国産牛肉拒否を全面に出し、安全面でも価格面でも吉野家を上回る。

ならば、消費者が、強い意志の元で米国産牛肉に「NO」を突きつけなければならない。
<<<
>>> 米国産牛肉を食べないのが最善。

アメリカ政府は日本人の健康なんか気にしていないから。
日本政府もキミの健康なんかどうでもいいと思っているから。
輸入業者が求めているのは利益であって、キミの安全な食生活ではないから。
彼らは安全のため、自分自身は食べないだろうから。

あとは私たち日本人がひとりひとり考えれば良いだけのこと。
美味しいから食べるのもよし、安いから食べるもよし、スリルを求めて食べるのもまたよし…。
<<<
 本件もそうだし、あるいは所謂「北の脅威」もそうですが、どうも日本人の「リスク対策」における思考回路といのは、リスクによる損失(L)とリスク予防費用(B)だけで考えてしまう傾向があるように思います。しかしながら、本来、リスク計算というのは、(L)と(B)を比較するのではなく、(L)に(P:蓋然性)をかけたものと(B)を比較すべきです。もちろん、かくいう私も日本人ですので、そういう思考をする気持ちはとても良く分かるのですが、こういう思考回路は仕舞いには「宇宙人の地球侵略の危険性から地球を守るために、世界の総生産の9割を割いてでも地球防衛軍を作るべきだ!」というような際限のない「予防」に走る危険性がある(「宇宙人による地球侵略」だって、可能性としてはゼロではありません)、きわめて非合理的且つ非効率的な結論に至る可能性があります。リスクを正しく判断しなくてはなりません。少なくともアメリカ人は単に損害の大小だけではなく、そのリスクの蓋然性を考慮に入れているから、日本の要求する全頭検査はとらないのだと思われます。なんたって「ハンドの定式」の国ですから。
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2009年07月19日

「企業自己責任」

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090716-OYT1T00897.htm
>>> 最低賃金は1000円以上…社民が政権公約


 社民党は16日、次期衆院選の政権公約(マニフェスト)を発表した。

 「格差拡大の経済大国」から「平和で豊かな福祉社会」への転換を目指し、時給1000円以上の最低賃金の実現などを盛り込んだほか、消費税率は引き上げず、食料品などを実質非課税とする方針を明記した。

 また、民主党との連立政権樹立を視野に「キャスチングボートを握る重要な位置にある」と、社民党の存在意義を強調。その上で、基本政策「4本柱」として〈1〉格差社会の是正〈2〉内需中心経済への転換〈3〉税制見直しなどによる財源捻出(ねんしゅつ)〈4〉憲法9条などの理念実現――を掲げ、民主党に実現を働きかけるとした。

 ◆社民党の政権公約要旨◆

 【基本政策】格差社会を正し、雇用と社会保障を再建▽輸出最優先経済から内需中心の経済へ転換▽金持ちや大企業優遇の不公平税制の是正などで財源を捻出(ねんしゅつ)▽憲法9条、13条、25条などの理念を実現

 【生活再建3本柱】〈1〉しごとの再建 「いのち」と「みどり」の公共投資で新規雇用創出▽最低賃金時給1000円以上の実現▽労働者派遣法の抜本改正▽職業訓練期間中の生活保障を法制化〈2〉くらしの再建 国民皆保険制度の維持▽後期高齢者医療制度の廃止▽月8万円を確保する最低保障年金創設▽高校入学金・授業料の無償化〈3〉地域の再建 公的病院の維持と医師増加▽農家の直接所得補償制度を創設▽中小企業支援▽郵政民営化の抜本見直し

 【財源】〈1〉無駄遣い削減(年間4兆円超) 大規模公共事業の中止▽天下り禁止▽防衛予算見直し▽在日米軍への「思いやり予算」廃止〈2〉特別会計の総点検(同6兆円超) 「埋蔵金」の活用など〈3〉不公平をただす(同4兆円超) 法人税引き上げ▽高額所得者の所得税率引き上げ▽証券優遇税制の廃止〈4〉経済や金融のあり方を変える(2011年度以降) 景気回復による税収増、環境税や国際連帯税の検討

(2009年7月16日19時19分 読売新聞)
<<<
 最低賃金に関する議論においては、その引き上げを主張する言説に対しては決まって「そんなことをしたら企業が倒産してしまう」という「反論」が見られます。確かに、賃金は「コスト」ですから、その引き上げは利潤を押し下げるでしょう。場合によっては、賃金引上げで倒産する企業も出るでしょう。仰るとおりです。

 しかしながら、そもそも、低賃金で働かせなければ運転できないような企業は経営において欠陥企業です。そして、そんな企業は資本主義社会・市場経済社会においては必要ありません。早急に市場から退出しなくてはなりません。そう、「資本主義社会・市場経済社会は全てにおいて競争社会であるからして、雇用の「イス」が確保できなかっ者は「努力」不足であり、「自己責任」であり、野垂れ死のうがなんだろうが関係ない。まして社会がそんな者を助ける必要はない。」と、どこかの誰かさんが仰っていたのと同じことです。

 企業よ、心置きなく死ね。市場は諸君を必要としていない。


 とまあ、おなじみ「自己責任」論を、個人だけではなく企業に対しても適用してみたわけですが、こういう言説を以って業界整理を支持する言説って少ないんですよねぇ。「時給1000円以上の企業もある」とか「うちだって苦しいけど1000円以上時給を出している。それなのに『1000円も払ったら倒産しちゃいます><』なんて甘えている!」とか「バブル時代に内部留保を貯めなかった自己責任」とか出てきてもいいと思うんですけどね。

 ちなみに、もちろん私は「心置きなく死ね」なんて言ったりはしません。ただし、われわれが一番大切にすべきなのは生身の人間であり、企業は生身の人間ではないので、場合によっては、企業には「死んでもらう」ことも必要であると思います。すなわち、たとえば欠陥企業を公的資金で「延命」するくらいなら、その分の公的資金を失業保険準備金に回して、来るべき「臨終」に備えるなど(もちろん、倒産させた場合の損失額と失業保険準備額を比較する必要はありますけど)。「労働者の生活を守ること」と「現在の雇用を守ること」は必ずしも一致しませんからね。

【追記】
 上記本文中にて「資本主義社会・市場経済社会」と書きましたが「資本主義」と「市場経済」は同一視すべきかという論題が最近、私の中で沸いてきました。「資本主義」には「市場経済」のメカニズムは不可欠ですが、市場メカニズム成立の歴史的経緯から見ても「市場経済」だからといって、それすなわち「資本主義」とはなりませんし。
posted by s19171107 at 00:24| Comment(0) | TrackBack(2) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月18日

「北欧」をめぐって

 6月30日づけ「何も変わってないなあ(2)」において、昨今の雇用問題に関する議論において、日本の所謂「労働者側」を称する、主に「左翼勢力」が、やたらに「北欧の社会保障」の充実っぷりを宣伝する割には、その充実した保障を経済的に支えている重要要素である「高い雇用流動性」について言及することが少ない、つまり、北欧の「実像」が正しく認識されていないことについて取り上げました。

 その一方で、「”労働者側”を自称する左翼勢力」の言説を批判する、言うならば「反左翼」な方々におかれましても、類似した現象が見られるように思います。たとえば、以下。
http://www.j-cast.com/kaisha/2009/07/15045349.html
>>> やっぱり無かった「共産党ブーム」 2009/7/15


都議選で自民党が歴史的な大敗を喫し、野党民主党が第一党に名乗り出た。都議選は総選挙の前哨戦だから、今後もこの流れは変わらないだろう。

ところで、議席の減少率と言う意味では、自民党よりも歴史的大敗を遂げた野党が存在する。日本共産党である。改選前13議席がいまや8議席。“蟹工船ブーム”だのなんだの言われていたものの、まったく国民に相手にされていないというのが実情だろう。彼らが見捨てられた理由とは何だろう。


現代日本には「階級」なんて存在しない
さすがに生産手段の国有化や私有財産の否定などは言わなくなったが、それでも彼らはあるものを堅く信じ続けている。それは「階級闘争」だ。資本階級とプロレタリアート(無産労働者)が対立し、やがて資本主義が崩壊して共産主義に進化するというロジックは、彼らの思想の肝の部分だ。共産党である以上、ここは何があっても捨てられないらしい。

だが、少なくとも現代日本において、階級なんてものが存在しないことは明らかだ。大企業のトップは資本家ではなく生え抜きのサラリーマンだし、中小企業のオーナー社長は自宅担保で運転資金を借りるものなので少なくとも“資本家”とはいえない(後継者不足で年7万社が廃業するほど割に合わない)。プロレタリアートはいることはいるが、普通のサラリーマンには何らかの資産がある。少なくとも大手の組合員中心の連合は、明らかにプロレタリアートではない。

今日の「正社員と非正規雇用」に見られるような格差問題の本質は、身分制ともいうべき正社員保護規制によって、単純に労働者間の分配が上手く行われていない結果に過ぎない。だから仮に階級があるとしても、それは連合とその他労働者の間であるべきで、結局は労働市場の流動化しか解決策はないことになる。

というように、問題も答えも見えているにもかかわらず、「資本家が悪い!大企業を規制せよ!」と見えない敵を相手に闘争をしかけ続ければ、そりゃかたぎには相手にされなくなるだろう。

結果を考慮しない「規制強化」は若年層にとって害悪
フォローしておくが、僕は左派全体を否定するつもりは無い。スウェーデンのように、マルクス主義と決別した左派政権が、市場原理を積極的に活用することで流動性のある社会を作ることに成功している事例もある。日本の左派にも階級闘争を捨てているグループは少なくなく、市民派や新左翼グループの中から、今後そういった新たなうねりが生まれてくるはずだ。

だが、日本共産党はもう死んでいる。「共産党にも存在価値はある」という人もたまにいるが、僕はそうは思わない。結果を一切考慮しない安易な規制強化ばかりを主張し、派遣切りを拡大させるなど、若年層にとってはむしろ害悪でしかない。心置きなく死んでくれといいたい。

とにかく教義を信じることに専念し、内部評価を上げた人間だけが昇進する。彼らの理想は浮世にはないので、内部評価と世間評価は一致しない。そういう意味では、共産党員はどこか宗教的である。

「きみ、ちゃんとお札は買っていますか?」
「いえ、買っておりません…」
「信仰心が足りませんね。そんなことでは高いステージに参加できませんよ」
お札=赤旗、信仰心=革命的気概、高いステージ=革命に読み替えると、特に違和感もない。

もうこうなったらいっそのこと、宗教法人化すればいいんじゃないかな。「マルクス教」とかいって、とりあえず経典は『資本論』で。死後は「貧富の差がなく、無気力労働者も腐敗官僚もいない計画経済体制で幸せに暮らせますよ」とアピールすれば、今より信者、いや党員も増えることだろう。
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 文中で筆者は、昨今の雇用問題・格差問題の解決策は「結局は労働市場の流動化しか解決策はな」いとした上で、事業者側に負担を求める日本共産党の主張を批判しています。そして、その文脈において、「スウェーデンのように、マルクス主義と決別した左派政権が、市場原理を積極的に活用することで流動性のある社会を作ることに成功している事例もある。」と述べているように、「北欧(スウェーデン)の事例」を引っ張り出しています。

 しかしながら、スウェーデン云々言うのなら、かの国の社会保障財源における事業者負担比率は日本よりも高い、つまりスウェーデンは、それこそ日本共産党の主張する方向の政治を行っているわけですが、その辺がすっかりとカットされ、ただスウェーデンの雇用流動性だけを取り上げているのは気のせいでしょうか?

 もちろん、企業の儲けは結局のところは労働者の生み出した富から生まれるのですから、事業主負担増が賃金減から捻出されるという可能性だって十分にありえるし、そういうデータもあったような記憶がある(曖昧)わけですが、かといって「全て」を賃金減から捻出するわけにもいきませんから、結局、純粋な事業者側負担、すなわち利潤の切り崩しもある程度はあるでしょう。そういう意味で、スウェーデンの事例は、日本共産党の思い描く「とおり」のモノではないでしょうが、方向性としてはある程度、一致するところがあると思います。

 このように、日本における北欧認識を見ていると、どうも中途半端な感が否めません。どちらも、自分の見たい「北欧」だけを見ている、それこそある意味「宗教的」というか。。。しかし、こうしている間にも雇用情勢はますます深刻化してゆくのであった。

 ところで、「結局は労働市場の流動化しか解決策はないことになる。というように、問題も答えも見えているにもかかわらず、「資本家が悪い!大企業を規制せよ!」と見えない敵を相手に闘争をしかけ続ければ、そりゃかたぎには相手にされなくなるだろう。」と仰いますが、「雇用の流動性向上こそが問題解決の鍵」っていう言説は、まだ世論のコンセンサスを得るに至っているとは思えないんですけどねえ。そもそもそんなに雇用問題が注目されていないというか。

 最後にどうでもいいツッコミ。「貧富の差がなく、無気力労働者も腐敗官僚もいない計画経済体制で幸せに暮らせますよ」という「死後の教義」を宣伝するのならば、『資本論』を経典にしても意味ないだろwww また、「日本の左派にも階級闘争を捨てているグループは少なくなく、市民派や新左翼グループの中から」っていうくだりにおいて「新左翼」という単語が使われているけど、たぶん文脈的に「旧来の左翼が持つマルクス主義階級闘争観から脱却した新しい左翼」という意味だと思うんだけど、すげえ紛らわしいから別の言葉に置き換えたほうが良いと思うよ。階級云々も、そういう意味じゃないと思うんですがねえ。
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2009年07月17日

「人様に”モンスター”のレッテルを貼るモンスター」にならないために

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090712-00000507-san-soci
>>> “モンスター患者”を退治! 大阪府が府警OB斡旋へ
7月12日1時33分配信 産経新聞

 救急病院で迷惑行為を繰り返す患者への対策として、大阪府が今秋にも、府警OBを府内の救急医療機関に斡旋(あっせん)する制度を創設することが11日、分かった。これまで培ってきた能力を新天地で生かしたいOB側と、近年急増する“モンスターペイシェント”対策に悩む医療機関側の思惑が一致。府は今後、府内の救急医療機関に雇用の希望調査を実施する。

 府によると、医療機関は、モンスターペイシェントへの対処法だけでなく、医療機関内の窃盗対策や不審者侵入防止など、必要とする分野に応じて専門の府警OBを希望することができる。

 府はモンスターペイシェントの実態を把握するため、昨年10月、府内の322救急医療機関(回答247件)を対象に初のアンケートを実施。その結果、約75%の医療機関が過去1年間に数回以上、「医療機関の関係者に因縁をつける。暴言を吐く」「診断や処置について不満を訴えたり、不当な要求をする」といった迷惑行為を受けていたことが判明した。

 一方、「警察との協力」「警察OBの雇用」などを要望する意見が多かったため、府は府警側にOB雇用への協力を要請した。

 府警では団塊の世代の退職期がピークを迎えており、今年3月には677人が退職した。府警はOBが能力を発揮できる新たな就職先として快諾した。府は今秋にも救急医療機関に雇用の希望調査を実施したうえで、府警と医療機関と協議し、再就職希望者を紹介する。

 府によると、これまでも、府警OBが個別に医療機関の顧問などとして再就職する例はあったが、大手医療機関など一部に限られていた。今回のように府が両者の橋渡し役となることで、小規模な医療機関なども府警OBの斡旋が受けやすくなるという。

 府医療対策課は「府が間に入り、医療機関側の希望を一括して府警に紹介することで斡旋の機会も広がり、透明性も高まる」と話している。
<<<
 患者(ペイシェント)に限らず、昨今は色々な「モンスター」があちこちに出現しているようで、各方面の方々は大変なご苦労をなさっているようです。しかしながら、ここ数年の「モンスター」の「出現報告」を聞いていると、「モンスター」と命名しているほうがむしろよっぽど「モンスター」的なのではないかと思えることも少なくありません。

 その典型例が、「モンスターペイシェント」に関する一連の議論だと思われます。本件は、「医療危機」「医療崩壊」が話題になっている昨今で、その「医療危機を深刻にする戦犯」としての扱いを受けている関係で、名称の浸透度基準で見れば「モンスターペアレント」のほうが上ですが、「世論」による非難の度合い基準で見ると、ダントツで話題になっています。そして、「モンスターペイシェント」問題のうち、「深夜コンビニ診療」と「救急車のタクシー的利用」、そして本記事にもある「不当要求」と「暴言」の4点が主要な論点、というか(一方的な)批判対象となっているように感じます。

 これら4点は、確かに深刻な問題であり、およそ常識というものが欠落していることを自他共に認めている私としましても、「モンスターペイシェント」の方々の「輝かしい功績」には、驚くことが少なくない次第です。これらの4大問題行為を批判するのは実に容易い仕事です。しかしながら私としては、(いつものクセで)ここであえてボコボコに批判されている「モンスターペイシェント」側の視点、思考回路にしたがって、これらの4点について見て考えてみると、先にも申し上げたように、「モンスター」と命名しているほうがむしろよっぽど「モンスター」的なのではないかと思えることも少なくありません。

 たとえばまず、「深夜コンビニ診療」について。これについては2とおりの場合わけが最低でも必要だと考えます。すなわち、1つに「昼間も来られるのに、昼間の診療時間帯は混んでいるからわざわざ夜に来る」と「昼間に来る時間がないからしぶしぶ夜に来ざるを得ない」です。

 さて、前者については私は何も申し上げることはございません。大多数の皆様の仰るとおり、とんでもない輩です。しかしながら、後者については、わざわざ、電車もバスもない夜間、仕事帰りで疲れた体に鞭を打って病院までやってくる患者たちに対して、私たちは単純に「モラル」だとか「常識」だとか、それっぽい御託を並べて「良識的市民」を気取っているのではなく、その事情を汲み取らなければなりません。すなわち、昼間に病院に来られないような労働環境について、もっと関心を寄せなくてはなりません。それをせずに、自分の視点だけを以って相手を「モンスター」扱いするのならば、あなたこそが「モンスター」であるといわざるを得ません。

 「救急車のタクシー的利用」については、第一段階として2系統の場合わけ、そして、各系統ごとにそれぞれ2つの場合わけが必要です。すなわち、「”交通機関”としての救急車利用」系統と、「優先的に診療を受けるための”チケット”としての救急車利用」の系統です。

 まず、前者系統について。これは更に以下、2つに場合わけができます。すなわち、「ほかに交通機関はいくらでもあるのに、車を出したりするのが面倒くさいから救急車を呼ぶ」場合と、「諸般の理由で自力では病院に行けないから救急車を呼ぶ」場合です。前者については、これもまた私としましては、批判者の隊列に加わらせていただきますが、後者については、もちろんこれは救急車の正常な利用とは言い得ないものなので積極的に支持はしませんが、しかしながら、これについても先ほどと同じように、その事情を汲み取らなくてはなりません。以前にも書いたような気がしますが、何らかの代替方策が現れない限り、こういう理由での出動要請は、「許容範囲」とせざるを得ないのではないかと考えます。

 この論点に関しても、やはり、「モラル」だとか「常識」だとか、それっぽい御託を並べ、自分の視点のみで話を完結させるのは、それこそ「モンスター」の思考回路です。

 「優先的に診療を受けるための”チケット”としての救急車利用」系統についても検討してみましょう。これについては、私としましては、本当の意味での良識的で、実は自覚はないのだけれども重症である患者が出動要請を出すことに対して萎縮してしまうのではないか、という懸念を以前から申し上げてきました。こういう「モラル」とか「常識」ということばは、他人を批判する際には実に効果的でありますが、その効果が思わぬ副作用をもたらしうるという危険性についても認識しなくてはなりません。

 「不当要求」と「暴言」については、似たようなものなので同時に処理しますが、これはまた実に曖昧で、如何にでも化けうる今まで以上に胡散臭い論点です。

 もちろん、クレーマーも真っ青な「ホンマモン」だって相当数いることは想像に難くありません。そういう論外な輩については、例によって私も批判者の隊列に並ぶ所存ですが、しかしながら、明らかに医療技術が未熟な医師に対する注文や、あるいは医師側の説明不足(自分の体に施されている措置が何であるかについて患者に知る権利はあってしかるべきでしょう。それこそ「常識的に」考えて。医者の世界では違うのかも知れないけど。)、コミュニケーション能力不足とかそういうのも同じくらいありそうなんですけど。

 まあ、この記事には実際の事例とかが載っていないのでなんともいえないですけど、もしそうであるならば、自分の側の問題を棚に挙げて、相手を「モンスター」呼ばわりしているのならば、それこそ完全に「モンスター」です。

 まあ結局、何が言いたいのかといいますと、確かに問題外の、まさに「モンスター」という言葉がふさわしい、とんでもない輩が相当数いることは確かだが、しかしながら、本来は汲むべき事情のある人や、こちらの側が反省すべきことを指摘している本物の「良識的市民」をも、「モンスター」のレッテルを貼り付け、その正当な理由・言説を圧殺していることはないのだろうか、もしそういう事態があるのならば、それは批判者の側が「モンスター」なのである、というわけです。そして、本来は汲むべき事情のある人かどうか、こちらの側が反省すべきことを指摘している本物の「良識的市民」かどうかを見極めるためには、自分の視点の固執するのではなく、相手の視点に立ち、相手の思考回路で物事を考える必要がある、ということです。

 ところで、相手の視点に立たず、ただ自分の視点からのみ物事を判断しようとする「人様に”モンスター”のレッテルを貼るモンスター」というのは、思考回路の特徴において所謂「感情屋」と共通するところがあるように思います。こんなところでまたお会いしましたな。

 このような思想で、やっと本記事の本題について考えると、まさに「モンスター」というべき輩への対抗の面でも、正当な理由をもつ人や全うな批判言説で理論武装している本物の「良識的市民」を見極める面でも、まあそれなりに(一般人比)人を見る目のあり、仲裁の腕もそれなりにある警察OBが出てくるのは、良いのではないかと思います。この試みの続報にも注目したいと思います。
posted by s19171107 at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月14日

最近思ったこと。

 最近思ったこと。現行与党体制の「対立軸」をつくるという点において、「共産党を"伸ばす"」ことと「民主党を"矯正する"」ことって、どっちが「現実的」で「手っ取り早い」んだろう。

 4月27日づけ「日本共産党「党員代表」」において、筆坂秀世・元共産党政策委員長の「共産党は企業献金をもらわず地域のために奉仕する政党としての存在意義はある。地方議会で真面目に活動しているのは共産党議員。自民党の地方議員が共産党議員の半分くらい活動すれば大したもの。」という発言を4様ブログからの引用という形でご紹介しましたが、先の都議選の結果を、単純に獲得議席数や、全体投票率と党得票率の関係から見るに、「地域のために奉仕する政党としての存在意義」すらも怪しくなってきた今日この頃です。

 長いこと政治政局関係の記事は書いてきませんでしたが、ちょっと再び 恥をさらして 首を突っ込んでみようかな。
posted by s19171107 at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 『野党共闘』に絡む話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月08日

7・8

金日成同志逝去15年に際し、改めて追悼します。
もう15年も経つんですね。
posted by s19171107 at 05:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記じゃない雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月06日

児童ポルノ規制反対の言説についても検討してみる

ちょっと古くなり始めた話題ですが、、、
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090629-00000005-jct-soci
>>> 宮沢りえのヘアヌード写真集 17歳で撮影なら児童ポルノ?
6月29日21時15分配信 J-CASTニュース

 児童ポルノの単純所持が禁止されたら、17歳で撮影ともされる宮沢りえさんのヘアヌード写真集も廃棄すべきなのか。こんな話が議論され、話題になっている。子どもの被害をなくそうと法案の審議は進んでいるものの、基準が分かりにくいとの不満があるようだ。

■与党側「分からないなら、やはり廃棄すべき」

 ヘアヌードが社会現象にもなった女優、宮沢りえさん(36)の「Santa Fe」。1991年に発売され、芸能人の写真集としては、最も多い150万部の大ベストセラーになった。

 それが20年近くたって、再び話題になっている。衆議院法務委員会で2009年6月26日に行われた児童ポルノ禁止法改正案の審議。民主党の枝野幸男議員が、この写真集を児童ポルノとして扱うことになるのか、と取り上げたからだ。

 「10年前、20年前、30年前とかに製造・販売されて手元にあるものを、そんなものをみんな調べるんですか?」と問いただした枝野議員に、法案提出者である自民党の葉梨康弘議員は、こう答弁した。

  「児童ポルノかも分からないなという意識のあるものについては、やはり廃棄をしていただくのが当たり前だと思います」

 ただ、葉梨議員は、廃棄までに1年の猶予があり、有名なものなら政府が調べるとも述べた。

 児童ポルノ禁止法の改正を巡っては、与党側が個人の趣味で児童ポルノを持つ単純所持を禁じる案を提示。これに対し、民主党が、購入したり何度も入手したりする行為を禁じる取得罪の対案を出して、平行線の議論が続いている。

 ともに、子どもの被害をなくそうという目的は変わらない。しかし、民主党は、過去に合法だったものまで問うのはどうか、その基準が分かりにくく、えん罪を生みかねない、などと与党案に反対している。

 可決の可能性がある与党案について、りえさん側はどう考えるのか。

 所属事務所のエムツー企画では、担当マネージャーが外出中としながらも、「うちの方では答えようがありません」とだけ話した。ただ、内容が内容だけに、戸惑っている様子だった。

■「児童ポルノに当たるのか、疑問」と朝日出版社

 宮沢りえさんの写真集「Santa Fe」を出版したのが朝日出版社。その制作部では、法案の動向を注視するとしながらも、「児童ポルノに当たるのか、疑問がある」と話す。

 そして、今後の扱いについては、こう説明する。

  「写真集は、もう絶版になっています。写真やネガは、所有物ではないので、こちらには一切残っていません。ただ、記録用に社内で何冊か保存してあります。もし法案が通ったら、対応を考えないといけないとは思っています」

 本や雑誌では、過去に載った写真に18歳未満の裸などがある可能性がある。「週刊プレイボーイ」など若者向け雑誌も出している集英社では、「法案ですので当然、対応しないといけないですが、今のところお答えできることはありません」(広報室)としている。

 与党案については、賛否両論に分かれている。

 日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんは、2009年6月26日の衆議院法務委員会に参考人として出席し、支持する立場から意見を述べた。児童ポルノは、ネット上でコピーされて長く残ってしまうとして、「犯罪や虐待の現場を永遠に残し、被害者の心をずたずたにする凶器」と訴えた。

 一方、日本雑誌協会は、J-CASTニュースの取材に対し、与党案については反対する考えを示した。事務局では、「単純所持を罰すれば、いくらでも拡大解釈して取り締まりが行われてしまいます」として、国会審議をみながら協会の見解を出すことを明らかにした。
<<<
 久々に児童ポルノ規制問題。かつて私は、本問題について、「17歳と364日に撮られたモノと18歳と0日に撮られたモノでは肉体的な差異は全くない一方で、法的には大きな違いがあるわけだが、果たして画像や映像の被写体が、17歳と364日か18歳と0日であることをどうやって識別するのか」と書き、この辺があいまいであるからこそ、本規制には賛同できないとしました。が、これを見る限り、どうやら「疑わしきは廃棄、廃棄しなければ処罰」ということになるらしいです。まさに逆転の発想ですわ。

 結局、推進派は「ロリコン共の性的搾取から子供たちを守らなきゃ!!!!救わなきゃ!!!!」という正義感が行き過ぎて、どこかとんでもない方向に暴走しだしたということですかね。なんか「資本家共の搾取から労働者たちを守らなきゃ!!!!救わなきゃ!!!!」という正義感が暴走して、実に残念な結果をもたらした何処かの誰かさんたちの思考回路と類似するものを感じます。

 当然ながら、この狂信的なまでの規制推進派の言説には批判が集中しており、私見では規制反対派の言説のほうが理にかなっているものが少なくないと思います。しかしながら、その中にもやはり、ちょっと違うかなあという言説が一部あるので、今回は以前とは趣を変えて、規制反対派の言説について検討してみようと思います。

 まず、一番目立つのが、アグネス・チャン氏に対する個人攻撃や、日本ユニセフ(ユ偽フ)に対する攻撃です。結論から言うと、特にアグネス・チャン氏に対する個人攻撃は、実に無意味な行動です。なぜならば、アグネス・チャン氏は規制推進派陣営に属する人間の一人にすぎません。ただちょっと有名であるがために、ほかの、無数の陣営所属者たちから担ぎ上げられているだけです。つまり、アグネス・チャン氏への個人攻撃は、「本当に対決すべき相手」と対決せず、手っ取り早い相手を叩いているだけにすぎません。その辺をウロウロしている雑魚モンスターなんて、いくら倒してもゲームはクリアできません。

 同様に、ユ偽フに対する攻撃、特に「日本ユニセフはUNICEFではない」というような攻撃も、ユ偽フが規制推進派の首脳部であるならぱ話は別ですが、どうやらそうではない以上、「どうでもいい雑魚モンスターを倒しているだけ」に過ぎません。

 次に、これは本記事に特殊なのものかもしれませんが、宮沢りえさんが17歳であった当時に撮影されたとされるヌード写真を掲載している冊子の所持を禁ずることに対する「あの冊子は宮沢さんの同意の下で作られたのだから問題ない」という言説について。以前にも書きましたが、たとえそうだとしても、「子どもの判断能力」という視点から考えると、「本人が同意しているからおk」とは、必ずしも言い切れないのではないでしょうか。

 さらに、18歳未満を「児童」と定義していることについて「児童は小学生までだろう」とかそういう言説について。法的定義云々以前に、そんなのどうでも良すぎます。あちらさんはその気になれば「18歳未満ポルノ単純所持禁止法」に書き換えますって。
 ちなみに、「児童」の定義が「18歳未満」となっているのは、子どもの権利条約とかそのあたりからの影響なんじゃないですかね。知らんけど。


 あと、これは「検討」ではなく「皆様にお聞きしたいこと」なんですが、本規制に反対する方々の主張として、「本規制は遡及処罰であり、遡及処罰の禁止に反する」というものがあります。それについて。

 まあなんとなくそれっぽい感じはするのですが、「遡及処罰の禁止」あるいは「法の不遡及」の定義、すなわち、Wikiによると「実行時に適法であった行為を事後に定めた罰則により遡って処罰すること」を本問題にあてはめ、その上で、実際の規制推進派の言説とすり合わせると、私としましては、推進派ってそんなこと言っているのだろうかと思うのであります。

 前掲「法の遡及」の定義を本問題に当てはめるならば、以下のようになると思われます。すなわち、「(ポルノ入手)当時、適法であったポルノの入手という行為を、事後に定めた規正法によって、遡って処罰すること」です。

 確かに規制推進派の狂信さを鑑みれば、このようなことを口にしていても何の不思議もありません。十分にありえる話です。しかしながら、私の知っている範囲では、規制推進派陣営内部の、実際に立法権力を持っている人がそこまで主張していたか記憶が定かではないのです。少なくともこの記事だけを読む限りでは、「規正法発効の暁には、発効前の所有事実をも処罰してくれよう」という意図は読み取れず、むしろ、「規正法発効までに廃棄処分してくれればそれで良い」としているように読めるんですよねえ。

 ゆえに皆様には、規制推進派陣営内部の、実際に立法権力を持っている人は、正確な定義における「遡及処罰」を考えているのかについてご教授いただきたく存じます。

 なお、たとえ規制推進派でも、一般人(アグネス・チャンandユ偽フ含む)は、日本国における立法権力を持っていないので、この際無視すべきです。外野がいくら吼えても国会で成立しない限りは日本国の法律にはなりえません。

【追記】
 あちこち調べていたら、「遡及すべきだ」みたいなのを言っている人がいたので、この辺については自己解決しました。
posted by s19171107 at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

「経済分野における感情屋」説

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090702-00000073-jij-int
>>> 高額報酬が復活=平均6800万円の社も−米金融大手
7月2日13時17分配信 時事通信

 【ニューヨーク2日時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は2日、金融危機の落ち着きで業績が改善した米金融大手が、従業員の報酬を大幅に引き上げる方針だと伝えた。ゴールドマン・サックスの従業員の年間報酬は、平均70万ドル(約6800万円)と昨年から倍増する見通しという。
 4〜6月期は、ストレステスト(特別検査)で指摘された資本不足を補うために金融機関が相次いで大型増資を行ったほか、一般企業も社債発行による資金調達を拡大。証券会社は、株式や社債発行を引き受けることで、多額の手数料を手にしたもようだ。 
<<<
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090703-00000001-jct-soci
>>> GS社員の平均年収約6700万円! 米金融機関の「強欲」はやまず
7月3日19時5分配信 J-CASTニュース

 いわゆる「リーマン・ショック」で経営陣や従業員の報酬の大幅カットに踏み切った米大手金融機関が、相次いで報酬の引き上げを計画しているという。競合他社への人材流出を恐れての措置だが、多くの企業が政府から公的資金の注入を受けているだけに、世論からその「強欲」ぶりに反発は必至だ。

■米シティグループ従業員の基本給50%値上げ

 2008年後半はサブプライムローンの破綻が相次ぎ、いわゆる「リーマン・ショック」が全世界を襲った。リーマン・ブラザーズのように破綻した大手金融機関もあれば、公的資金の注入で延命にこぎ着けた金融機関も少なくなかった。金融機関の支援を議会で検討する際、公聴会などで、従業員や幹部の高給ぶりが激しく非難されたのは記憶に新しいところだ。

 ところが、この1か月ほどで、これらの従業員の報酬引き上げをめぐる動きが活発化している。

 例えば英オブザーバー紙は09年6月21日、

 「ゴールドマン・サックス(GS)のスタッフは、創業からの140年で最も多いボーナスを期待できそうだ」

と報じている。GS側は、直後にこの報道を否定したのだが、およそ10日後の7月3日には、米ウォール・ストリート・ジャーナルが具体的な引き上げ額を報じている。09年の従業員1人当たりの報酬は70万ドル(約6700万円)に達する見通しで、リーマン・ショックの影響を受けた08年(36万3000ドル、約3500万円)の約2倍の水準。リーマン・ショック前の07年(65万1000ドル、約6240万円)の水準を上回るのだという。

 報酬引き上げはGSだけではない。ニューヨーク・タイムズ紙が6月24日に報じたところによると、米シティグループは従業員の基本給を50%引き上げる方向で検討しているという。ボーナスが値下がりした分を、基本給の引き上げで「穴埋め」するのが狙い。ストックオプション(自社購入権)の新たな付与も検討されているという。

■行政が報酬引き上げをやめさせる権限は無いに等しい

 記事によると、モルガン・スタンレー、UBS、バンク・オブ・アメリカなどの大手金融機関でも、同様に基本給の引き上げが検討されているという。

 この背景には、同社の従業員が、公的支援を受けていない投資銀行など、競合他社に流出することを経営陣が恐れており、「引き留め工作」の面が強いとみられている。

 シティグループをめぐっては、米政府が2度にわたって公的資金を注入しており、現在は米政府が同社株式34%を保有する筆頭株主でもある。報酬の引き上げが世論の反発を招くことは確実だ。

 もっとも、行政もまったく手をこまぬいている訳ではなく、ロイター通信が7月1日に報じたところによると、米証券取引委員会(SEC)では、企業が経営陣に対してストックオプションを付与する際の情報公開基準を厳しくする方向で検討が進んでいる。

 だが、前出のニューヨーク・タイムズの記事によると、行政が一般従業員の報酬引き上げをやめさせる権限は無いに等しいというのが現状だという。
<<<
 例によってコメント欄。
>>> 咽元過ぎればってやつだな。

民間企業だから、やたらと報酬額を法律でしばるのもどうか
と思うけれど、これだけの混乱を世界中にばらまいた米金融関連
の企業がこういった判断をしていることを知り、そんな企業を
信じない文化を作らないといけない。
<<<
>>> 小泉改革の果てに日本もいずれはこんな厚顔無恥な連中が幅を利かす国になるのかもしれない。
グローバル、グローバルと騒いでアメリカ経済を追随するのはもうやめて、
日本人が豊かになるための経済のあり方を模索していかなければならない。
<<<
 また、現在はもう消えてしまっている記事のコメント欄においては、「連帯責任という感覚はないのか」みたいな書き込みがあったと記憶しています。


 GS社員が再び高給をとり始めたことがご不満なご様子です。

 しかしながら、第一に、ほかの金融会社はさておき、とりあえずGS社に限って言えば、今回の金融危機に際してアメリカ政府から下された「処分」、すなわち公的資金の注入による経営再建「命令」と、経営再建の暁にはその公的資金を返済せよという「命令」に対して同社は、去る6月18日の公的資金完済を以って責任を果たしました。これ、すなわち、同社が今回の問題に対して社会的に科された処分を果たしたことはすなわち、同社が本件に対する社会的責任を果たしたことにあたると思われますので、同社の従業員報酬が再び高額になることは特に問題があるとは考えられません。なお、今更「処分が甘いからまだ責任をとったとは言えない」というのは無しで。1つの問題に対する処分は1回で済ませましょう。

 刑期を満了して出所した元受刑者のように、社会的制裁を受けその制裁の内容を果たした人物に対して、日本人がなおも色々と理由をつけてはケチをつけるする光景は、刑事事件関係の話題を見ていると、特に「感情屋」の皆様の行動・言動としてよく見かけますが、こんなところで類似の言動を見るとは。。。かつて、感情屋と「自己責任」論者の類似性を指摘し、「あるいは「感情屋」は刑事事件のみに出現するものではないのか、従来の「感情屋」は、「刑事事件における感情屋」であって、そのほかにも「経済分野における感情屋」も存在するのではないか」という趣旨の記事を書いたような記憶がある(曖昧)のですが、今回の一件を通して、その感は強くなったように思います。

 そして第二に、J-CASTニュースだからしょうがねえといえばしょうがねえのですが、「GS社員の平均年収約6700万円! 米金融機関の「強欲」はやまず」というタイトルについて。なにか思いっきり勘違いしているようですが、昨今話題の「強欲さ」の問題点は、自己の利益のためには経済システムを破壊することをも厭わないような「強欲さ」であって、単に高給をとることではありません。その点、今回は「報酬があがるらしい」すなわち、まだ起きていない事柄に関する報道です。自己の利益のためには経済システムを破壊することをも厭わないような「強欲さ」か、それとも妥当な経済活動の結果得られた妥当な高給なのかの判断はつけられません。

 さて私は、国際金融資本をはじめとする国際営利企業が特別嫌いなわけではありません(産業を興す余力もないほど疲弊した地域には、彼らの力が必要ですしね)が、昨今の国際営利企業の振る舞いには、反感を感じることは少なくありません。社会集団の一員としての自覚に欠けているというかね。ですから、あまり国際営利企業の側に立ったり、あるいはその行動に理解を示す言動を口にすることはなかったと思いますが、しかしながら、今回ばかりは心から同情しますw しばしば彼らは、自分の気に入らない地域から逃げるときの捨て台詞として「ここの連中は頭が固くて閉鎖的だ」と言いますが、今回ばかりはそう言いたくなる気持ちも分からないでもありませんw
posted by s19171107 at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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