>>> ピッツバーグG20デモに2000人、逮捕者は15人コメ欄。
9月25日14時24分配信 ロイター
[ピッツバーグ 24日 ロイター] 20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)の会場となっている米ピッツバーグで24日、G20に抗議する約2000人がデモに参加したが、商店の窓ガラスを割るなど一部が暴徒化した。
バンダナやゴーグルなどを身に着けたデモ参加者は、「資本主義に希望はない」などと書かれた看板を高く掲げて抗議した。
警察はデモ隊に向って1時間ほど拡声器などを通じ、解散するよう呼びかけた後、催涙ガスなどを使用する可能性を警告。デモ隊は警察によって別々の通りに分散させられたが、G20会場から約1.6キロ離れた場所で衝突が起きた。
デモ隊が瓶や石などを投げたため、警察は催涙ガスなどを使用した。
警察当局の発表によると、深夜までに15人が逮捕された。 <<<
>>> 瓶や石を投げるとは・・・節度を守らないと。「ヨーロッパではたびたび暴動が起きるのに、何故日本人は立ち上がらないのか」と言う問いは、ある程度、社会問題に興味を持ち、調べている人が一度は考えるテーマであり、長く、色々な人が色々な見解を示してきました。「奴隷根性」だとか、「お上に従順な国民性」という結論を導いた人もいました。
しかし、日本ではこういうの起きませんなぁ。
不満や鬱屈がいろんな場面で溜まりまくっているのにねぇ。 <<<
私としては、「何故日本人は立ち上がらないのか」という問いに対する答えのひとつ(全てではない)は、このコメ欄に現れているのではないかと考えます。すなわち、以下。
>>> 「資本主義に希望はない」と叫んで暴徒化したデモ隊が暴れ回っているが、共産主義や社会主義にはもっと希望がない。 <<<
>>> 資本主義は確かに格差を生み出すけどさ、それでも共産主義より100倍マシなんだよ。
だから、中国なども市場経済を取り入れてきている。
単に自分の境遇が恵まれないのを、国のせいにしているだけの奴は嫌い。 <<<
>>> 資本主義に希望はない
共産主義はもっと希望がないと思うけど <<<
>>> 「資本主義に希望はない」
資本主義国家がイヤなら中国か北朝鮮で暮らせばいいじゃない。
ただしあそこの国は政府が全てで「人権」はないけどね。 <<<
>>> 「資本主義に希望はない!」なんて言っても、それこそ独裁主義や社会主義や共産主義に「資本主義」すなわち「現体制」に反対すればすぐに「失敗した社会主義・共産主義」が出てくる、というかそれしか出てこない。別に誰も「資本主義を廃絶して社会主義・共産主義に移行すべきだ」と説いているわけではない(少なくともこの記事からは読み取れない)のに、あたかも自明であるかのように勝手に直結させる。
は“絶望”しかないことがさんざん立証されてるのに・・・。 <<<
この現象は、yahooニュースのコメ欄のいつもの調子であると断じてしまえばそれまでですが、例によってその「思考回路」に迫ってみようと思います。
私としましては、このような勝手な直結は、彼らの脳内における経済体制が「資本主義」と「社会主義・共産主義」の2つしかないことに由来するのではないかと思います。もちろん、例の、単純二項対立でしか情報を処理できない「yahooニュース脳」のなす業とすることもできなくはないのですが、このような現象はコメ欄に限った話ではなく、世の中広くに蔓延していることなので、今回はこの方向で考えてみたいと思います。
つまり、現在の資本主義以外の経済体制、もっと言えば「変革の思想」が不在であるから、不満を持っていても如何すればよいのか分からず、よって「日本人は立ち上がらない」いや「立ち上がりたくても立ち上がれない」のではないでしょうか。もちろん、「『立ち上がる』ほど大多数の人は困窮していない」というのも十分にあると思いますけど。
そして、「変革の思想」が不在であるということは、通常、「今の社会を変革し新しい社会を作るべきだ」という立場をとっていると言われている、いわゆる「革新」とか「左派」とか呼ばれる勢力が、彼らが否定的な現在の資本主義に対する疑念が高まっている時代はしばらくぶりで、かつ彼らの現状批判には鋭いものが少なくないのにもかかわらず、世界的に余り勢力を拡大できていない原因であるといえるのではないでしょうか。ちょうど先日、ドイツの総選挙で中道右派が勝利したという報が飛び込んできましたが、それに対する分析にも、似たようなことが書かれていました。
http://mainichi.jp/select/world/news/20090928dde007030014000c.html
>>> ドイツ総選挙:中道右派勝利 不況脱出、期待託す 経済運営に実績「左派が方向性を見失った結果、保守が票を得ているのが欧州の実情ではないか」。この指摘は、欧州に限った話ではないと思います。
【ベルリン小谷守彦】中道右派2党が勝利し、11年ぶりに保守政権が誕生することになったドイツ総選挙では、本来「敵」である左派と右派が政権を組み、民意が反映されにくい「大連立」に対して厳しい「NEIN(ノー)」が突きつけられた。また、有権者は金融危機の後遺症からの脱却を願い、経済運営で実績のある中道右派2党へと希望を託したとみられる。
ドイツでは戦後、キリスト教民主・社会同盟、社会民主党という二つの大きな政党が小党と連立政権を担うケースが大半だった。
例外は66〜69年の戦後初めての不況の際、両党が大連立したキージンガー政権で「政治停滞」が指摘された。
メルケル首相の大連立政権は、年金支給開始年齢の引き上げ、育児手当の大幅増など社会保障改革や消費税引き上げなどで実績を残した。しかし、医療保険改革で意見が合わず、問題を先送りしたり、経営危機に陥った米ゼネラル・モーターズの子会社、独オペル救済を巡り両党が深刻な対立を示すなど、混乱もあった。
社会保障の充実などで大きな政府を目指す社民、競争力強化など経済政策を重視する民主・社会同盟はそれぞれの本領を必ずしも発揮できず、有権者には不満がたまっていた。
不満票は小党へと大きく流れ、大連立2党の得票は合計で五十数%しかなくなった。世論と政治の分裂は決定的となり、5党が分立する状況が強まった。
新しく連立を組む民主・社会同盟と自民党はこれまで、戦後復興を成し遂げたアデナウアー政権下の49〜57年と61〜63年、ドイツ統一を行ったコール政権下の82〜98年などで連立経験があり、経済運営には定評がある。有権者は不況からの出口を中道右派に求めたようだ。
ただ、自民党が主張する社会保障の見直し、所得税、法人税などの大幅軽減は民主同盟内でも抵抗感がある。有権者も既得権益の喪失には拒否反応を示すとみられ、今後の改革の行方が注目される。
◇社民の暫定得票率、過去最低23% 中規模政党に転落
【ベルリン篠田航一、隅俊之】選管の暫定集計では、社会民主党の得票率は23%で、戦後のドイツ(西独)連邦議会選史上、最も低迷した53年の28・8%を下回り、過去最低となった。05年からキリスト教民主・社会同盟と「大連立」を組んだため支持者が離反、左派新党に流れた票も取り戻せなかった。社民党は従来、「国民政党」を掲げる大政党だったが、中規模政党に転落した。
社民党の首相候補のシュタインマイヤー外相は27日、大勢判明後にベルリンの党本部に現れ「新政権に何ができるのか疑念を抱いている。野党としてじっくり注視していきたい」と硬い表情で語った。男性支持者(60)は「非常にショックだ」と肩を落とした。
◇「5党態勢」本格化−−野田昌吾・大阪市立大教授(ヨーロッパ政治)
今回の独総選挙では「大政党が敗れた」印象が強い。惨敗した社会民主党の陰に隠れているが、キリスト教民主・社会同盟も戦後2番目に低い得票率だった。かつては民主・社会同盟は自営業者や農民、社民党は労働者といった固定支持層があったが、今は階級の差も不明確で、必ずしも票を得られなくなった。
一方、他の3小政党がすべて得票率を10%台にしたのも歴史的だ。大連立への批判ももちろんあるが、社会の多様化に合わせて「5党態勢」が本格化したと見るべきだ。
実は民主・社会同盟と自由民主党の連立は世論調査では「良くない」という人も少なくない。規制緩和や大幅な減税など新自由主義路線で社会保障レベルが下がることを有権者は望んでいない。
メルケル首相は新自由主義路線を打ち出した前回総選挙で票を減らした。その教訓を得て、大連立政権では社民色の濃い政策を実施し、世論の支持を得た。今後、首相がどのような政権運営をするのかが注目される。
保守政権の誕生で、欧州全体の「保守化」が指摘される。だが、「保守」の中身は必ずしも明確ではない。サルコジ仏政権も、新自由主義的な路線を唱えたが実行できていない。むしろ左派が方向性を見失った結果、保守が票を得ているのが欧州の実情ではないか。【聞き手・斎藤義彦】
毎日新聞 2009年9月28日 東京夕刊 <<<
このような視点で考えると、日本国内有数の左派・革新派である日本共産党が、勢力の維持ですら精一杯である現状が、決して「メディアの2大政党制確立キャンペーン」などではないことがお分かりいただけると思います。案外「世論」はちゃんと見ているんですよ。
ところで昨今は、各種資格の取得に熱を上げる人が少なく無く、大学は「就職までに何らかの資格を取得するための猶予期間」と捉える人が少なくありません。私としては、この「資格ブーム」の一因もまた、「変革の思想」が不在であるためではないかと考えます。本題とは直接的には関係ないので、最後に書き加える形式でメモしておきます。