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2008年12月27日

絶望的に視野が狭い

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081226-00000130-jij-pol
>>> 雇用情勢の悪化が急加速=製造業派遣、リストラの矛先に
12月26日18時41分配信 時事通信

 世界的な経済危機が深まる中、国内の雇用情勢悪化が加速している。厚生労働省のまとめによると、雇用契約が更新されなかったり途中で打ち切られたりする「派遣切り」が製造業を中心に広がり、今年度内に職を失う非正規労働者は8万5000人(12月19日調査時点)に上った。製造業の非正規労働者は100万人と言われ、その8%もの人が半年のうちに職を失う計算だ。
 自動車や電機など、これまで日本経済をけん引してきた製造業は、消費の冷え込みで大幅な生産調整に入った。リストラの矛先を向けられたのは、辞めさせるのが容易な派遣労働者や期間従業員だ。派遣切りなどによる失業は前回調査(11月25日)時点に約3万人だったが、わずか3週間で2.8倍も膨らんだ。今後、年度末に向けての人員削減が決まれば、数字はさらに積み上がる。
 また、厚労省調査で、11月の新規求人数は、製造業で42.9%減と33年半ぶりの減少幅を記録した。新規求人数は雇用の先行きを示す指標であり、製造業の雇用環境は今後さらに悪化する可能性が高い。
 急速に悪化する雇用情勢に、舛添要一厚労相は「米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)した時はここまで緊急を要することになるとは思わなかった。ボヤが一気にあおられ、猛火に包まれている」と表現。全力で雇用対策に取り組む姿勢を強調した。
 ただ、雇用不安が一気に進んだのは「派遣を製造業に解禁したのが原因で、これを是正しない限り抜本的な解決にならない」(労働組合)との指摘は根強い。
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 コメント欄。
>>> 冷たい言い方かもしれませんが

能力がないか「切られる」のでは?

派遣なんてしょせん、派遣。当人達が、住む場所がないとか、飯食えないとか

仕方ないんじゃない。 貯蓄もせず、その日暮らしで生きるからそうなるんだよ。

仕事も選ばなきゃ絶対、あるし。 結局、自分の時間、理想の環境、給料

など理屈をつけては選んでるんだろうね。 今の時代にそんなことしていたら

死にますよ。 もっとやる気出せ。 何でもしろ。 仕事選ぶな。

以上
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 これらの言説のナンセンスっぷりに対しては随所にて批判、、というか半ば嘲笑われており、当ブログにおいても何度か批判したとおりですが、それにしてもこの記事を読んでなお、上記のようなコメントができるその視野の狭さは、正常な感覚であればなかなかできないのではないでしょうか。私としましては、このような言説は嫌味かなんかだと思っていましたが、どうやら彼らは本気で言っているみたいですね。。。

 ここ数年来、日本社会は弱肉強食的要素が以前より強まりました。弱肉強食社会というのは、ある意味、将来が予測しやすい分かりやすい社会です。弱者から淘汰される。上記報道記事においても、「辞めさせるのが容易な」非正規雇用労働者から餌食になっていると明記されており、さらに、雇用の先行指標である新規求人数が大幅に悪化していることがハッキリと記述されており、景気は全面的に悪化し、雇用情勢はもっと悪化してゆくであろうことは小学生でも推測できます。

 となれば、当然、雇用整理は正社員にも波及するでしょうし、現に経団連副会長も認めているところです。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081226AT3S2501Q25122008.html
>>> 雇用調整、正社員に波及も 経団連・大橋洋治副会長

 来春の労使交渉の経営側指針をまとめた日本経団連の大橋洋治副会長(全日空会長)は25日、日本経済新聞などのインタビューに応じた。2009年の雇用情勢について「正社員も打撃を受け、早期退職勧奨が出る可能性もある」と述べ、雇用調整が正社員に波及しかねないと示唆した。主なやりとりは以下の通り。

 ――連合は賃上げ方針を掲げたが、賃下げを決める企業も出始める中で交渉の見通しは。

 「経済情勢は9月から日に日に悪化し、企業はどこも大変だ。連合は08年度の消費者物価上昇から賃上げをしろと言うが、物価は外生要因で上がっており、生産性に寄与しない面が大きい。賃上げはなかなか厳しい」(07:02)
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 まさに「明日はわが身」。本来人間は、自分も関係する利害関係に対してはかなり敏感なものであります。現に、以前は全く関心をもたれなかった裁判員制度について、内定通知が送付された途端に反対運動を始める人が出てきました。にもかかわらず、いまだに「派遣労働者自己責任」論をぶち上げて、知らぬ存ぜぬを貫こうとする方がいる。「明日はわが身」であることにいまだに気がついていないのです。それとも、自分の能力を買いかぶっているのでしょうか。それはかなりイタイなぁ。

 以前より、やたらに経営者側に立ち労働者側を叩く言説を口にする人の思考の「根底」を探ろうと、本当に多くの人たちが色々な仮説を打ち立ててきました。「日本人の奴隷根性のなす業」とまで言う人がいました。しかしながら私としては、これは単に、絶望的に視野が狭く、また、相手の言説が本当に妥当な言説であるのかを多角的な視点から検証しようとする身構えが決定的に欠如しているがために、相手の言うことを鵜呑みにしているだけなのではないかと思えてきました。

 絶望的な視野の狭さといえば、これは「感情屋」の十八番でもあります。以前の記事において、所謂「自己責任論者」と「感情屋」の共通点をいくつかの角度から考察しましたが、今回の記事を以って、「絶望的な視野の狭さ」という共通点も追加したいと思います。

 ところで、多角的な視点からみると、「非正規雇用はそういうものだから仕方ない」とか「努力していないから仕方ない」という昨今流行の言説(というか、もはや開き直り)の失当性も見えてくるものです。今後、その点に関する記事も書きたいと思っていますので、当ブログ訪問者の皆様に置かれましては、コメント欄において添削をお願いします☆
posted by s19171107 at 13:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「感情屋」の「根底」を探るには、遡ってファシズムの歴史、特にそれを成立せしめた当時の大衆心理に
対する考察に触れるのも有益なのではと思います。
大衆が欲するのは強者の勝利と弱者の殲滅あるいは無条件降伏であると確かヒトラーは言いましたが、
例えば、手っ取り早く「悪者」を仕立て上げてそれを叩くことで悦に入る橋下徹のような俗物を賞賛する
大阪府民のサドマゾ的な精神構造は、時代や背景や規模の違いを超えて、かつてナチスを熱烈に
支持した昔のドイツ人のそれと驚くほど似ているように見えます。

詳しくは管理人様の論考を待ちたいと存じますが、管理人様が仰るところの「感情屋」にしても恐らくは
そうでしょう。
自らのサディズム的渇望を満足させるというただそれだけの理由で、それらの弱者を弱者であるが故に
抹殺することによって(そのために「内定取り消し」や「派遣切り」は厳然たる契約違反であるという事実も
平気でスルーする)精神的優越感を手に入れようとしている、そう考えれば合点がいくのですが。
Posted by ポール at 2008年12月28日 06:01
コメントありがとうございます。

>ポールさん
 研究の方向性をご教授くださってありがとうございます。たしかに、如何見ても単にバッシングして楽しんでいるだけという世論も相当数みられますからね。サディズム的欲望が「感情屋」全ての原動力であると断言できるかは、今の段階ではまだ何ともいえないのですが、その線はかなりあると思います。今後とも、研究記事に対する「添削」をひとつよろしくお願いいたします。
Posted by s19171107@管理人 at 2009年03月08日 17:40
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