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2008年12月31日

「自己責任論」の危険性

 本年も当ブログにおいては、本当に沢山のテーマについての記事を書いてきましたが、この1年間に取り扱ったテーマのなかで最も注目すべきだと考えるテーマは何かと問われれば、私は9月1日づけ「共産党関係の世論を集めてみようと思う」においてご紹介した、日本共産党(以下、「共産党」と略す)の党員が1万人も増えたことを挙げます。

 件の記事にて取り上げた情報源記事においては、単に党員が1万人余り増えたとしか書いていないのですが、12月14日づけ『赤旗』によると、このうち、20代〜30代の「若者」は2割〜3割程度を占めているそうです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-12-14/2008121405_01_0.html
>>> 党員増――若い人が「入党させてほしい」と事務所に

 志位 そうですね。

 大江 そんななかで日本共産党は党員数が増えているんです。現在の党員数はおよそ四十万人なんですけども、去年の九月から今年の十二月までに(新規党員で)約一万三千人も増えています。その内訳を見ますと、二十代から三十代が二割、四十代から五十代が六割、そして六十代以上が二割ということで、若年層が増えてきているのが特徴だそうです。

 志位 以前はだいたい(二十代、三十代は)一、二割だったんです。ところがいま二割から三割くらいになってきてますから、若い方の入党が最近増えているのはうれしいことです。

 大江 その背景にはどういうことがあるんですか?

 志位 いろいろありますが、私たちはこの間、とくに「働く貧困層」の問題の解決にずっと取り組んできたなかで、若い方が、(インターネットの)ホームページなどで共産党の主張をずっとみていただいて、それで共鳴して、先方から私たちの事務所に来て「入党させてほしい」ということが全国各地であるんです。いままでは、(そういうことは)あまりなかったですね。

 田勢 「たしかな野党」っていう言い方をされてますよね?

 志位 ちょっと前までは言っていましたが、今度はそのフレーズだけでは…。私たちは、与党になるという志(こころざし)をもっていますから。ですから、「政治の中身を変えよう」ということをいっています。

 田勢 二十一世紀のなるべく早い時期に民主(連合)政府をつくることに向けてですか。

 志位 それに向けて第一歩の前進になるような結果を、今度の(総)選挙で出したいと私たちは考えています。
<<<
 本件については、前掲9月1日づけ記事において、その「世論」を収集し、ご紹介しましたが、多くは本件について否定的な見解、つまり新規入党者を「短絡的である」と断ずるものでした。しかし、そのような「短絡的」な決断に至らせたのは一体誰なのでしょうか?

 8月24日づけ「どん底から這い上がる「自己責任」?」においても指摘しましたが、昨今の「自己責任論」は、各個人の現状を「自己責任」と断ずるのみならず、そのような現状から「這い上がる」段階にまでも「自己責任論」を掲げて、支援を拒もうとしています。その点、本件は確かに「短絡的」といえば「短絡的」かもしれません。しかし私としましては、このように、「どん底」から「這い上がる」段階においても尚、社会的な支援を受けられず、「自分でなんとかしろ」と突き放されている人たちの精一杯の「答え」であるといえないことも無いと思います。

 これは重大かつ深刻な現象です。なぜならば、今回は偶然、「日本共産党」という、議会主義を前提とした合法政党に対して支持が集まったからまだ良かったものの、もし、今後一層社会状況が悪化し、且つ、あいかわらず「自己責任論」によって社会から見放されたとしたら、その支持は議会主義政党である共産党に留まらず、頭数さえ揃えばすぐにでも決起をしようと考えているアレな人たちに傾きかねず、その場合の脅威は「秋葉原事件」の比ではありません。秋葉原事件は確かに重大且つ深刻な事件でしたが、単独犯行だったので、「危険地域」は犯人から半径数メートルでしたが、この場合の「危険地域」は、半径数メートルといった程度では済みません。もちろん、皆が皆、武装闘争路線に走るとは考えられず、走るとしても極々一部でしょう。しかし、極々一部、喩え数十人程度であったとしても、組織化された武装闘争の危険性は、やはり、秋葉原事件のような単独犯の通り魔的犯行の比ではないし、そこまでいかないにしても少なくとも「スラム街」といえるようなものは形成されてしまうのではないでしょうか。

 つまり、本件は単に「短絡的だ」とか言って片付けられるような話ではなく、せめて、「下流」とか「負け組み」とか言われている方々が「這い上がる」段階においては社会的な支援を施さないと、長期的には社会全体にとって大きな脅威となりかねないということを示しており、昨今の「自己責任論」の危険性と失当性を示す好例なのではないかと考える次第です。

 本年は当ブログにおきましては、所謂「自己責任論者」の言説を取り上げ、その言わんとしていることを研究すると同時に、様々な角度から批判して参ったつもりです。来年も本年と同様、このテーマについての記事編集活動を継続する所存です。
posted by s19171107 at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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