日本ユニセフ協会などが11日、「なくそう!子どもポルノキャンペーン」を始めた。「子どもポルノ大国」といわれる日本で、はんらんする子どもポルノへの規制を強めようとのねらい。日本ユニセフのサイトには、児童ポルノ撲滅キャンペーンの特設ページが設置されており、児童ポルノ規制の意義を説いています。以下、一部引用。
同協会やNPO、民間企業のマイクロソフト、ヤフーなど23団体、25人が呼びかけ人・賛同団体に名を連ね、要望書への署名を呼びかけている。
要望書は児童買春・児童ポルノ禁止法を改正し、(1)子どもポルノの単純所持を禁止し、処罰の対象とする(2)アニメ、漫画、ゲームソフトなども規制の対象とする(3)18歳以上が子どものふりをしたものも規制する――などを求めている。
日本ユニセフ協会の早水研専務理事はこの日、与野党の国会議員らと会見し、「子どもポルノは子ども虐待画像そのもの。製造過程で子どもを虐待し、インターネットにのれば、生涯にわたって人間の尊厳を侵害し続ける」と話した。同協会大使を務めるアグネス・チャンさんも「日本の子どもポルノについての規制は不十分。子どもたちのために協力して」と訴えた。
http://www.unicef.or.jp/special/0705/cyberporn01.html
性的搾取の被害を受けた子どもたちはみな、身体的な苦痛やトラウマに悩まされ、情緒不安、うつ、怒りなどさまざまな症状を訴えます。また、罪の意識に苛まれて自分を責め、自傷行為に走ることもあります。
しかし、サイバースペースで性的搾取の被害を受けた子どもたちは、さらに別の苦しみに耐えなければなりません。子どもたちは、屈辱的な虐待画像の存在自体が、彼らが受けた恐ろしい暴力行為の真相をあいまいにしてしまうことを危惧しています。子どもたちは、カメラの前では微笑むように強制されるため、まるで彼らが共謀して子どもポルノを製作したように見えてしまうことを恐れています。そして、誰にも自分たちの苦痛をわかってもらえないのではないかと思い込み、実際に虐待画像が存在しているのも関わらず、虐待行為があったことを否定します。また、事実を受け入れることができず、すべてを否定しようとして真実を打ち明けることを拒否する子どもたちもいます。これは、子どもたちの心に計り知れないほど大きな負担となってのしかかります。
さらに虐待画像は、一旦サイバースペースに流出してしまうと、何度もコピーされ、全世界の人に繰り返し見られる可能性があり、そのたびに被害者は「虐待」を受け続けることになります。子どもたちは、搾取を受けた瞬間からずっとおびえて暮らさなければならず、就職、結婚や出産といった将来の希望さえ奪われてしまいます。
子どもポルノの被害は、そのほとんどが家族や親戚などの身近な関係にある人からの性的搾取によって起こっています。この場合、警察の犯罪捜査で見つけることは難しく、近隣住民の通報やソーシャルワーカーなどのカウンセリングで被害が明るみになることがあります。日本ユニセフが賛同を求める要望書については、以下、全文引用。
また、家庭以外でも多くの子どもたちが子どもポルノの被害にあっています。ストリート・チルドレンと呼ばれる一日のほとんどを路上ですごす子どもたちや、子ども買春や人身売買の被害にあった子どもたちが子どもポルノに巻き込まれる可能性はとくに高くなっています。また児童養護施設からも連れてこられるケースもあります。
https://www2.unicef.or.jp/jcuApp/websign/websign_input.jsp
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「児童買春・児童ポルノ等禁止法」または「現行法」)の成立から9年。しかし、子どもポルノ問題は一向に解決される兆しが見られません。当ブログでは、児童ポルノ規制に関して、3月9日と3月10日の両記事において、自民党内に設置された小委員会の見解と絡めて取り上げました。その中で私は、「児童ポルノの法的規制の強化によって児童の人権を保護する」という理念と「単純所持の罰則化」の方向性には賛成の立場を明確に表明しました。
児童ポルノ製造犯逮捕などのニュースは毎日のように伝えられます。現行法の施行以来、毎年数百件の児童ポルノ事件が摘発され、氷山の一角であるこの数も増加の一途を辿っています。また、現行法では取り締まられない、水着姿の子どもに性的ポーズをとらせ撮影した映像が「アダルトビデオ」として販売され、欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いたアニメ・漫画やゲームソフト、また「児童ポルノ」を作品タイトルとするビデオが、大通りに面した有名量販店やインターネットの書籍・DVDショップで堂々と販売されるなど、「子どもの性」が明らかに成人向けの「商品」として取引されている状況が存在します。こうした状況の改善を求める声が国内外から届けられていますが、現行法の下では、法執行機関である警察も有効な打つ手を持ちえません。
本年11月、ブラジルで第3回「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催されます。1996年の第1回会議で、日本は、子どもポルノの一大生産国・輸出国であるばかりでなく、そうした状況になんら取り組んでいない「加害国」として非難されました。その後、政府・市民一丸となって取り組んだ反子ども買春・ポルノ・人身売買キャンペーンの成果として現行法が成立し、2001年、第2回会議が横浜で開催され、その取り組みと成果が国際的に評価されました。しかし、昨今のインターネットや携帯電話の驚異的な発達や普及は、子どものポルノ問題を取り巻く環境を激変させています。IT大国であり、コンテンツ大国でもある日本国内のこうした現状が放置されているために、日本のみならず、世界の子どもたちも「子どもポルノ」という名の性的虐待の被害に晒され続けています。
私たちは、こうした現状を変えてゆくため、以下の4点を訴えます:
(1) 児童買春・児童ポルノ等禁止法の処罰対象となるか否かを問わず、子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告・宣伝する行為に反対します。
(2) 政府・国会に対し、児童買春・児童ポルノ等禁止法の改正を含め、下記各点に対する早急な対応を求めます。
(ア) 他人への提供を目的としない児童ポルノの入手・保有(単純所持)を禁止し処罰の対象とする(第7条)
(イ) 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものを、「準児童ポルノ」として違法化する(第2条)。具体的には、アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む。
(ウ) 国及び地方公共団体による児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発を「義務」づける(第14条)
(エ) 「児童ポルノ」等の被害から、心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制を整備する。そのために具体的な計画の策定を国に義務付け、担当省庁に実施結果を国会に報告する義務を課す(第16条)
(3) メディア、各種通信事業、IT事業、ソフト・コンテンツ製造・制作・販売等の各業者、業界、ならびに関連団体による上記(1)に示す著作物等の流布・販売を自主的に規制・コントロールする官民を挙げた取り組みを応援するとともに、より一層の取り組みを求めます。
(4) 検察・裁判所はじめ全ての法曹・司法関係者に対し、子どもポルノが子どもの人権ならびに福祉に対する重大な侵害行為であるとの基本認識の下、児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科すよう求めます。
一方で、同時に私は、件の自民党小委員会の立法化方針、すなわち、「単純所持の罰則化」と所謂「二次元」の規制については、前者については、理念は正しいが、実際にポルノの被写体が18歳未満であることをどうやって証明するのか不明確、すなわち、犯罪構成要件が不明確であり、法律としては欠陥商品だと指摘しました。また、「二次元」規制についても、生身の人間の被害者が存在せず、実行未遂でも計画段階でもない事案について処罰するのは、余りに処罰権の及ぶ範囲が広すぎるし、憲法の保障する表現の自由との整合性も取りづらいので反対であると申し上げました。
そのため、日本ユニセフの特設ページに掲載されている、児童ポルノは被写体の子供の人権を蹂躙するものであり、ネットに流出した場合は、くりかえし(半永久的に)性的虐待を受けるものである、という主張には全く異論はなく、心情的・理念的にはこのキャンペーンに全面的に賛同するものですが、具体論である要望書の文面も含めて総合的に判断すると、残念ながら賛同できません。
要望書に書かれている要望の項目2について。
(イ) 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものを、「準児童ポルノ」として違法化する(第2条)。具体的には、アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む。法律の存在意義というのは色々ありますが、一つに、社会構成員の一人一人が、他人に迷惑を掛けない限りにおいて最大限の自由を享受するためにあります。だからこそ、各種基本的な権利が定められており、逆に他人の人権を侵害する行為は、権力によって排除されるのです。
児童ポルノ規制は実在の子供の人権を守るために行うものであります。そのため、架空の人物であるアニメ・マンガ類の規制は、実在の子供の人権を守ることとは関係ないはずであり、社会構成員に、他人に迷惑を掛けない限りにおいて最大限の自由を享受させるという法律の存在意義から考えると、子供の人権保護とは直接関係のない規制は不要です。
また、「18歳以上の人物が児童を演じる」というのは、所謂「女子学生モノ」、つまり制服コスプレや体操着コスプレ・スクール水着(スク水)コスプレとかを指しているのでしょうか。
もし本当に制服・体操着・スク水コスプレを規制するために、この条件が設定されたとするならば、残念ながら実際に機能はしないでしょう。なぜなら、高校3年生は18歳だから。きっと、製作者は「たしかに制服姿ですが、高校3年生の設定ですよ」と言うでしょうね。重大な欠陥です。
このように、何故そのような規制が必要なのか分からないし、実効性についても不明確なので賛同しきれない、といったところです。
児童ポルノを実際に規制するのは難しい課題ではありますが、理念としては絶対に間違っていないので、もう一度知恵を絞って戴きたい次第です。
ちなみに、「日本ユニセフ」は「United Nations Children's Fund」とは直接関係ありませんよー
しかも反対するとロリコンのレッテルを貼られる
管理人さんのいうとおりですよ
今まで死刑の論議のときから
感情論でものごとがどんどん決められていて
どうも歯止めがきかない状態になっているんですよね
飲酒運転で死刑だって時からあんまり変わってませんね風潮は。
>天性の庇護者さん
私もこの件に関して取り上げるのには、いつも以上に注意しています。
感情論というか、あまり考えていないように思いますね。
自ブログでもやっているんですが
長文になることをご了承下さい
児童ポルノの定義で言えば性的決定権のもっている
18歳以上という定義は正しいのかも知れないが
婚姻年齢が16であることから義務教育までの
設定にすべきだったと思う。
実際、児童ポルノ規制前のロリ市場では基本的に15歳未満という定義で15歳以上はその辺から一線を引いた連中だと認識してもらいたいものです。
あと性的暴力表現については規制をかけるべきだと思います
実は僕は最近のポルノ市場に関しては暴力表現の方が問題
であると思っているんです。
なんせ裸に関しては暴力性もなく
割と16歳ヌードとか17歳ヌードとかで犯罪性になるとは思えないのですが
やはり売春規制との絡みでどうも援助交際封じと児童ポルノを
混在した結果、そういったヌード的なものを一掃して
猥褻表現の低年齢化になっていったように思えます
水着のTバックの小学生なんて方向にいったのは
女子高生を児童定義してしまった法にも問題があると思います
16歳ヌードとか17歳ヌードは
やはり芸術性からいっても一番旬な次期を撮っているという
ので海外ではヌードにかんしては合法になっているようです
日本はヌードとポルノが混在しているのでこれはどうにもなりませんが、
単純所持と2次規制というなかば強引な手法は怖いですね。
まあ、僕は持ってないですから大丈夫ですけどね。
>天性の庇護者さん
>婚姻年齢が16であることから義務教育までの
設定にすべきだったと思う。
たしかに、結婚はセックスと大いに関係ある問題ですから、結婚年齢と「児童」の年齢的整合性を取る必要はあるでしょうね。
民法における「成人年齢引き下げ問題」と抱き合わせで考える必要がありそうです。
>あと性的暴力表現については規制をかけるべきだと思います
>実は僕は最近のポルノ市場に関しては暴力表現の方が問題であると思っているんです。
私もそう思います。
>水着のTバックの小学生なんて方向にいったのは女子高生を児童定義してしまった法にも問題があると思います
そうなんですか。私は詳しいことわかんないんですけどね。。。
>やはり芸術性からいっても一番旬な次期を撮っているというので海外ではヌードにかんしては合法になっているようです
美術館なんかにいくとヌードの絵なんかは年齢制限無しで見られるので、芸術的観点から言うと、ヌードは芸術ということになるんでしょうね。
ヌードとポルノの区別って実に難しい問題ですが、この辺は避けて通れない問題でしょう。
>単純所持と2次規制というなかば強引な手法は怖いですね。
面倒くさいから全部禁止にしておけばおkという、思考停止を感じますよね。
もうすぐ民法上の成人年齢も18歳になりますからますます規制しにくくなるでしょうね。
>ΙουνΥαさん
同意していただきましてありがとうございます。
そうですね、民法上の成人規定との兼ね合いも論点になりますね。