http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080426/its0804260042000-n1.htm
青山学院大学(伊藤定良学長、東京都渋谷区)は25日、同大学の教員が個人HP(ホームページ)に記した記述が不適切だったとして、学長名義での謝罪文を大学HPに掲載した。本件は、当ブログでも4月25日づけ現代日本の文化大革命的熱狂にて取り上げた『おいしいものが食べたい』さんのブログ記事が発端であるようです。
問題となった記述は、国際政治経済学部の瀬尾佳美准教授(環境経済学)の個人HP内のもの。この中で「私は死刑廃止論者ではない」としつつも「少年に対する死刑には原則反対」と主張、山口県光市の母子殺害事件で殺人や強姦致死などの罪に問われた元会社員の被告(27)=犯行当時(18)=に死刑を科すのは重すぎるとして、「最低でも永山基準くらいをラインにしてほしいものだ。永山事件の死者は4人。対してこの事件は1.5人だ」「まったくの個人的意見だが赤ん坊はちょっとしたことですぐ死んでしまうので『傷害致死』の可能性は捨てきれないと思っている」などと持論を展開した。
さらに、被告弁護団に対する懲戒処分請求を呼びかけた現・大阪府知事の橋下徹弁護士について「大阪府知事なんかエロノックだって務まったくらいですから誰でもかまいません。ま、人間の廃物利用ってところでちょうどいいじゃないですか」と述べたり、差し戻した最高裁の判事の妻について「おそらく専業主婦で、TVばっかり見ていたため洗脳され、夫の仕事にも影響したのだろう」などと書き、ネット上で批判の声が上がっていた。
この騒動を受け、伊藤学長は「当該教員の記述は適切でなく、また関係者のみなさまに多大なご迷惑をおかけしたことはまことに遺憾であり、ここに深くお詫び申し上げます」と謝罪、「今後このようなことが繰り返されることのないよう努めてまいります」とする声明を大学HPに掲載した。
私も問題の記事にトラバを送った関係上、件の記事は一応読みました。瀬尾准教授が、光市事件被告人に対して死刑を科すことに反対する理由のひとつとしてあげていた「日本では18歳になっても選挙権がないから。選挙権もないのに、義務だけあるのは気に入らない。」という視点については、私も一考の価値があると思いますし、「国が死刑という形で犯す殺人には、熟慮が必要」という主張や、あるいは下記主張には、全く異論ありません。当ブログにおいても、チュチェ96年10月8日づけ裁判:署名で罪が決まるときをはじめとして、再三、主張してきたことであります。
刑事事件の場合、遺族感情が量刑に影響するのには違和感がある。遺族感情が激烈でテレビの前で泣き喚けば罪が重く、タネ馬として用済みになっちゃったそのへんのお父さんみたいに、殺せば家族から礼状が届くような場合なら罪が軽い・・なんて刑事としてはおかしくないか?民事なら別だ。民事なら価値の高い人を(交通事故とかで)殺せばそれだけ賠償額も大きくなる(専業主婦なら安くて済む、本当)。が、刑事の場合は、家族なんかあってもなくても、一人を殺したら同じ刑にすべきではないのか。一方で、「対してこの事件は1.5人」という、本場外乱闘でも殊のほか叩かれているくだりについては、乳幼児は簡単に死んでしまうので、乳幼児に対する「殺意」については、成人に対する「殺意」よりも慎重に分析する必要があるという点についてはその通りだし、文脈的に、この「1.5人」のうちの「0.5人」というのは、恐らく「殺意可能性50パーセント」という意味での「0.5人」という意味であるように読めたんですが、それでも流石に「1.5人」という表現の仕方は、読み手の誤解を招く良くない表現の仕方かと。
それはさておき、このように良い視点を持ちながらも、大切なところで、言わなくても良いようなことを書いたり、あるいは拙い表現をしてしまったがために、産経にまでネタにされてしまうくらい炎上してしまった瀬尾准教授の記事ですが、これ瀬尾准教授の個人ページでの出来事じゃないんですか? 小学生の問題行動じゃあるまいし、なんで青学の学長名義で大学サイトのトップページに謝罪文が掲載されるんでしょう。
別の通信社の記事で読んだ覚えがあるのですが、なんでも、准教授個人ページでの出来事であるにも関わらず、青学の事務室に抗議電話が殺到したからだとか。青学トップページに掲載されている「謝罪文」の、いい具合にやる気の無い文面から見るに、おそらく、いくら学校関係者だからといって、准教授の個人ページでの出来事に関してまで大学の事務に電話かけてくるようなアホには、形式的にだけでも謝罪しとけば気が済むだろう、というような感じで書いたんでしょうね。
そして日本人は、とにかく批判に対して「そうです仰るとおりです」と言っていれば「反省」したとみなす方々ですので、このような中身の無い完全な形式的謝罪でご満足するんでしょうかね。もしもし電凸抗議者さん?あんたらバカにされているんですよー
ところで、本場外乱闘に対する「世論」として、以下のようなものがありました。
瀬尾の発言について昨今流行の「厳罰」です。しかし、この「厳罰」の目的って何でしょうか?社会に対して?社会に対しては迷惑かけていないでしょう。遺族に対して?遺族は何も言っていませんよ。勝手に「代弁」するな。
名古屋アベック殺人事件や
女子高生コンクリ事件並に 凶悪な犯罪・・・
光市母子殺害事件に対して瀬尾佳美の ブログでの心無い言葉の数々
私たちは決して忘れません
青山大学の品位を問います
公式発表をして処分なり、厳罰なりを与えてほしいです。
昨今流行の「厳罰化」について、当方が極めて慎重な立場を取っていることは、当ブログを以前からご訪問いただいている方々におかれましては、ご存知かと思います。これは、余りに厳罰化に偏向すると逆に社会的不利益が起こる可能性があるからでありますが、それと共に、昨今の「厳罰化」志向は、その目的が何なのかいまいち判然とせず、単に気に入らない奴に対して苦役を科し、苦しむ姿を見て、黒い欲望を満たすためなのではないかという予感がするからであります。
司法関係関連記事一覧
http://www.geocities.jp/s19171107/DIARY/BLOGINDEX/saiban.html
ただし、この瀬尾氏に関しては、この「0.5人」発言以上に、それをきっかけに明らかになった、他の記事やブログにおいての、光市事件や北朝鮮拉致事件の被害者および、専業主婦、低所得者や生活保護受給者、はては近所の小学校教師や児童に対しての侮蔑的な発言や中傷が非難の対象になっているようです。
実際に、各論での視点そのものはそれなりに一理はあるな、と思うところはたまにあるのですが、教育者という以前に一社会人、一成人としてはあまりにも一方的、感情的で幼稚、品性や配慮に欠ける表現や言い回しが多々見受けられるので、該当ブログ炎上などの非難じたいはやむを得ないなあ、というのが正直な感想です。
無論、大学への抗議や謝罪の要求はさすがに方向性が違う、やり過ぎとは思いますが。辞任要求の署名運動まで起こってるようですし…。
http://aogaku.campuscity.jp/bbs/common/b003978.html
私としては「犯行内容が悪質すぎておかしい」と思っていたのですが裁判所がそう判断したのであればそういうことなんでしょうね。
まったくそのとおりです。
厳罰厳罰ってアホみたいに騒ぐのは
欲求不満のあらわれですよ。
政治の不満もあって、生活も苦しい。
だから何か攻撃する相手が見つかると
やたら攻撃する。
日本人がクレーマー増えたのはマスコミのせいですよ。
で、その原因のマスコミでは、クレーマーを絞めろの発言。
そもそもマスコミは都合よすぎですよ。
都合悪くなると2ちゃんを叩き
都合のいい部分では2ちゃんのようは発言をする。
そりゃあ電凸する人はやりすぎだと思うけど
マスコミもマスコミでそういう煽りかたした責任ってもんを取って欲しいよな。
で、ねらーも片思いってことに気づけ。
マスコミはなんだかんだいってねらーを悪者にしている。
僕はそれがなんだか許せなくてね。
利用されている大衆は哀れってことですよ。
ストレス解消のためにクレーム言うのはわかりますが、
のせられていることに気づいて欲しいね。
>一社会人、一成人としてはあまりにも一方的、感情的で幼稚、品性や配慮に欠ける表現や言い回しが多々見受けられるので、該当ブログ炎上などの非難じたいはやむを得ないなあ
そこがバッシングする側のいやらしいとこでね。
「こいつは叩かれて当然」というヤツを叩くことで第三者には「ああ、そりゃそうだわな」と思わせる腹積もりなんですよ。で、この公判の判決内容そのものに異を唱える見方の口封じを行うのが本当の狙いだと。ま、体のいい言論弾圧といったところでしょうか。
ちなみに先の衆議院山口2区補選で当選した、民主党候補の平岡秀夫氏は、かつてテレビ番組で少年法に絡み、少年犯罪被害者の母親に向かって、「彼等にも犯罪を犯す事情があったんですよ」発言したそうですが、今回その発言は問題視されていません(平岡氏サイドは、その発言が今回の公判にからめられて蒸し返されることを恐れていたみたいですが)この手のバッシング対象がいかに恣意的に選ばれるかということの証左でありますな。
http://mrta1975.cocolog-nifty.com/thethe/2008/week16/index.html
蛇足ですが、上記の山口2区補選では、かの本村氏が、自民党の山本“ノーパンしゃぶしゃぶ”繁太郎氏の応援に駆け付けたとか。まさにあの男の正体や見たり、ですな。
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_04/t2008042830_all.html
勝谷・宮崎・橋下らが「弁護団は死刑廃止運動に裁判を利用している」と断定口調で糾弾していたのか、わかりましたよ。
結果、橋下は「自民」から出馬して大阪府知事になるし、民主党議員はバッシングされるし、
世間は死刑死刑の大合唱で厳罰化へと進む。
「傍聴人」が政治のプロパガンダに裁判を利用していたんですね〜まるっと納得。
>「amanoiwato」さん
確かに私も視点は良いと思うんですが、やはり表現の仕方がねぇ。。。炎上やむなしでも、ところどこに見られる鋭い視点を持っているだけに残念です。
しかし一方で、今回の一件については、問題部分だけを取り上げて批判すればいいのに、なんか批判が全体化してしまった結果、瀬尾准教授の言論の機会全てが失われてしまった点については、ちょっと表現はまずいかもしれませんが、「重箱の隅」を突いて全体を崩壊させるという、典型的な言論封殺パターンと似ているように思います。
>「RYZ」さん
私も、妙に犯行様態が「悪質」すぎる気がしていたのですがねえ。
日本の裁判所は、ときどき政治的判決を出すことがあるので、「判決だから間違いない」と単純に認めて検証作業すらしないというのは、まずいと思います。
>「天性の庇護者」さん
やはりそう感じますか。まあ、昨今の厳罰要求が本当に黒い欲望を満たすためのものなのかについては、今後の研究で更に明らかにしなくてはならないものですが、同意していただけるとなると、心強く感じますww
クレーマーとかそういうのについても、仰るとおり、黒い欲望に基づく厳罰要求と同根なのではないかと思います。
>「mash」さん
>「けら」さん
その件については、別記事で取り上げましたので、そちらでやりましょう。