しかし、今回ご紹介する「世論」は、今までとは一味違います。今まで当ブログにてご紹介してきた「世論」は、感情的になりすぎる余り、条文の本来の狙いとか、あるいは、厳格すぎる立法によって生じうる逆効果についての考察が不十分であるものが主体でしたが、今回は法律そのものの意義までも否定視するものであります。
今回の「世論」の元ネタは、以下の記事です。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080420k0000m040074000c.html
イラク活動違憲:「関係ねえ」発言で防衛省に抗議文 原告それでは、ご覧ください。
航空自衛隊のイラクでの活動の一部を違憲とした名古屋高裁判決を巡り、航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が、お笑いタレントの流行語を引用して「私が心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言したことについて、原告団は19日、防衛省に抗議文を送付した。近く田母神氏に面談を申し入れるという。
抗議文は「発言は憲法を無視してイラク派兵を強行し続けている政府や防衛省の『本音』を端的に示したものであり、『憲法なんて関係ねえ』と述べたに等しい」と指摘している。
原告団は、元文部科学相の中山成彬衆院議員が18日、「問題のある裁判長で、変な判決だった。3月末で辞め『最後っぺ』(おなら)を出したようなものだ」などと語った件でも、中山議員に抗議文を送るという。【大場弘行】
毎日新聞 2008年4月19日 21時18分
イラクでの兵員輸送にしろ、インド洋の給油にしろ、作戦行動の後に違憲とされていたら、自衛隊は何もできなくなる。どこから突っ込んでよいのか分からなくなるほど、法律とか憲法ってものについての理解が根本的にズレている「世論」であります。
そして、補給活動を自国の都合で勝手に止めたら、最悪、前線で戦う他国の部隊が全滅する可能性もある。
現場を預かる防衛省が「憲法9条など関係ない」ときれたとしても仕方がないことをしていると思う。
とにかく、軍事行動を一度やると決めた後は、憲法9条違反などという死んでいる法律を根拠に止めてはならないと思う。
以前、何で読んだのかは忘れましたが、日本人にとっての「法律」というのは、「一応定められているもの」であって、必ずしも常に適用しなくてはならないものではない、という意識が否定できない、という話を聞いたことがあります。
もちろん、本来の法律というものは、そんなものではなく、まして「法律の法律」たる憲法について「一応定められているもの」という認識を持つことは、「現代国家」は勿論こと「近代国家」ですら許されないことでありますが、今回ご紹介した「世論」を見る限り、やはり「一応定められているもの」という意識を持っている方もいらっしゃるようです。
本日は5月3日、憲法記念日です。昨今は民間での憲法論議が何だか盛んだとか、隣のオジサマが読んでいた朝日新聞に書いてあったのを、本当にチラッとだけ見ました。私は自身が護憲派であるということを以前から明らかにしておりますゆえ、これらの憲法論議には当然、護憲派として参加するものであり、基本的に改憲派の方々とは対立する立場に立つものと自認しておりますが、今回ご紹介したように、そもそも憲法に対する認識からして誤っている方に対しては、所謂「護憲派」「改憲派」の枠を超えて、憲法という存在そのものを守るという意味での「護憲」運動を展開したいと思います。ご協力ください。
憲法
国際法
法治を知るにはこれら三つの存在意義みたいなものを勉強する必要があると思うのですが、知識人や政治家ですら「ちょっと違うんでないの?」という印象を受ける発言が多いので、これらを一般の人々がよく理解するのは現段階では非常に難しいと思います。
私は日本人自ら憲法を作り直すべきだと思っていますが、イラク侵略の手助けをしておいて憲法を犯した認識のない政府や管理人さんのいう「世論」には薄ら寒いものを感じるので、今は護憲せざる得ないのでは というのが感想です。
私も、法律の存在意義から考える必要があると思います。
憲法については、「作り直したければ作り直せば?」くらいにしか思っておらず、正直どっちでも良いのですが、昨今の情勢を総合的に考慮すると、改憲するにしても、もう少し後にすべきではないか、という風に考えています。