>>> 「もともと日本人じゃない」 平沼氏、蓮舫氏を批判平沼氏のいう「日本人」がどういう基準で識別する「日本人」なのか、つまり、「日本民族の血を継承する人間」という意味での「日本人」なのか、「日本国籍保持者」という意味での「日本人」なのかという語句の定義をまずしないといけせんが、「もともと」という語句とあわせて考えると、「元来より日本民族の血を継承する人間ではない」という意味になると思います。「元来より日本国籍保持者ではない」というのは、現実と照合する限りにおいて意味不明です。
平沼赳夫元経済産業相(衆院岡山3区)が岡山市で17日に開かれた後援会パーティーのあいさつで、政府の事業仕分けで注目された民主党の蓮舫参院議員について「言いたくないけれども、もともと日本人じゃない。帰化して国会議員になって事業仕分けでそんなことを言っている」などと発言した。
蓮舫議員の事務所は18日、取材に「直接聞いたわけではなく、コメントする立場にない」としている。
平沼氏は次世代スーパーコンピューター開発事業の仕分けで、蓮舫議員が「世界1位でなければ駄目なのか」と発言したことを「政治家として不謹慎だ」と指摘。「科学技術立国の予算は世界1位じゃなきゃいけない。つけを払わされるのは有権者だ」と強調した。
パーティー終了後、平沼氏は記者団に「差別と取ってもらっては困る。テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目だ」と説明した。
ホームページによると、蓮舫議員は父親が台湾人、母親が日本人で、1985年に日本国籍を取得した。
2010/01/18 23:59 【共同通信】 <<<
「元来より日本民族の血を継承する人間ではない」という意味であるならば、これはチュチェ98年6月14日づけ「国籍・民族と帰属心・忠誠心」における議論をなぞることになります。すなわち、前掲過去ログで私は、「帰化しているとはいえ、韓国人」という表現を含む産経新聞記事をもとに、この手の連中が「日本人」か否かを識別する際に用いる最重要の基準が「血」であることを明らかにすると共に、「血」を基準とすることの無意味さを指摘しました。
今回の平沼氏の妄言も前掲過去ログにおいて取り上げた産経の妄言と同根のモノであると言えると思いますが、産経の妄言の元ネタになった出来事においては、焦点の「日本に帰化した韓国人男性」は「親が韓国人」という点において、確かに血統的には全く「日本人」の要素はなく、「血」の継承を何よりも重視する連中のような思考回路をした人間にしてみれば「彼は日本人ではない!」と言いたくなるのも分かります(もちろん、同意はしませんよ)。しかし、今回の平沼氏の妄言で焦点となった蓮舫氏の場合、母親が日本人であるという点において、「日本人の血」は入っているわけです。にもかかわらず、「もともと日本人じゃない」と言ってのける。「血」は「血」でも「純血」と言う点において、いよいよ「いつの時代だよ」という念を強くします。
ちなみに私としては、「『日本民族の血を継承する人間』という意味での『日本人』」という識別基準を持つことは、もちろん余り好ましいことではないし、そもそも「日本人」と呼ばれる人々は混血の雑種である点において、「血」を判断基準にすることはブーメランでしかないのではないかとは思いますが、「日本人」を自称する人たちの意識の発展段階から考えて、今しばらくは仕方ないと思います。しかし、政治や行政といった国家権力の現代的行使の場面においては、これを基準として持ち込むべきではないと考える次第です。
無意味な点に拘り、持ち込むべきでない領域に周回遅れどころの騒ぎではない論理を持ち込む平沼氏。こういうのが「保守」とか言っている日本の保守業界は大丈夫なんでしょうかねえ。