当ブログでは、来る都知事選に関して殆ど記事を書いてきませんでした。これは単純に忙しかったためなんですが、本日、『マガジン9条』に掲載されている山口二郎氏の「緊急提言」(
http://www.magazine9.jp/saito/index2.html)が丁度良い触媒になりそうな内容だったので、氏のコラムを触媒に、この件について少々書かせていただきます。
要旨はタイトルどおりです。今、民主党シンパの皆さんや、自称「無党派層」の皆さんが、盛んに「反石原統一戦線」と称して浅野候補への一本化を呼びかける、、、というか怒鳴っています。
なるほど、確かに「反石原統一戦線」も戦術の一つです。しかし、私としては、こういう統一戦線が勝利した場合、その後がとても怖い。触媒のコラムにおいて、山口氏は
どういう都政をつくるか? については細かいことを言い出すと、分裂するので、ざっくりとした共通認識を持っていればいい。
だなんて無責任なこと仰っていますが、選挙は投票日一日だけじゃないんです。任期中も選挙とおなじなんです。退任するまでが選挙なんです。
野党・新人候補というのは基本的に不利な存在です。なぜなら、与党・現職候補には「実績」という宣伝道具があり、有権者は「実績」を見て投票しますが、野党・新人候補にはそれは無く、有権者は「可能性」に期待して投票するものです。ゆえに、有権者の、「可能性」に対する期待票で当選した新人候補は、第一期目に前任者の解決できなかった問題点を力強く解決させて、二期目に繋げる「実績」を積まねばなりません。もし、山口氏の仰るように、なんとなくの方針で大同団結して勝ったとしても、就任直後から都政は分解しはじめ、有権者には「なんだ、期待して損した。新人・野党はやっぱりダメだ。」と思われかねません。そうしたら、もうお終いです。新人の「可能性」を見事に裏切られた有権者は、次の選挙では与党系の候補者に投票するでしょう。
また、山口氏は文末で
憲法改正のための国民投票などは、大人になり“人民戦線”で立ち向かわないと、ほんとうにもう戦後民主主義はくずれてしまう。
と仰っていますが、むしろ人民戦線戦術の方が戦後民主主義の息の根を止めてしまわないでしょうか。フランス人民戦線は、スペイン内戦に対する態度を明確にできなかったことと、共産党と急進社会党が分裂したことがキッカケで崩壊しました。
私は、このような理由から闇雲な一本化、勝つためだけの一本化には反対です。別に私が以前より共産党を支持する言動を取っているからではありません。もし、共産党員・吉田氏支持陣営が同じ論理で大同団結を訴えたとしても、私はこれに反対します。
かといって統一戦線を作らなくて良いかといえば、また違います。ゆえに、
チュチェ95年10月28日付け 独自候補は立てるべきか否かにも書いたとおり、候補者同士の確固たる政策協定が結ばれなくてはなりません。
しかしまあ、いくら反動社会で生きる為、反動社会を合法的に変革する為には自分も反動に身を慣らさなくてはならないといっても、「世論調査で勝てそうな候補に入れる」ってのは悲しいもんですね。選挙って有権者が候補者の政策を見て、この人になら任せられるって人を自分の意志で選んで投票するものじゃないですか。一刻も早く「個人意識における民主主義革命」を完遂させて、本来的な投票行動が全社会的になされることを期待します。そうすればこんなアホらしい論議もしなくてすみますからね。
それ以前に、そもそも「反石原」とか「石原おろし」って本当に有権者の中に浸透しているのでしょうか?珍しく今回、私は政治系ブログ類を見ていないので、テレビのリモコン操作と洗濯機の操作くらいしかできない機械オンチのオバチャンたちと同じ状況にいるのですが、余り「反石原」という空気は感じられないんです。政治ブログなんて絶対数が少ないし、運営しているひとも相当に政治への関心が高い。政治への関心がとても高い人どうしで盛り上がっているけど、ちょっと周りを見ると皆、冷めている、なんてことはまさか無いですよね?
posted by s19171107 at 19:17|
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『野党共闘』に絡む話題
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