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2010年07月23日

「国民が主人公」

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-19/2010071901_02_1.html
>>> 公共サービス 民間まかせ拡大
政府が基本方針


 菅内閣はこのほど、「市場化テスト」の名で行政サービスの競争入札・民間委託を大幅に拡大する公共サービス改革基本方針を閣議決定しました(6日)。対象を当初の6分野11事業から14分野90事業へと拡大。事業費ベースで自民党政権時代に比べて約3倍の1000億円台にのぼることになります。

 「市場化テスト」は、安倍政権下の2007年度に開始。社会保険庁による年金保険料の徴収や法務局の証明書発行業務などで民間参入が始まりました。「官から民へ」といって国の責任を投げ捨て、公共サービスを民間まかせにするものでした。

 今回の基本方針は、これまでの市場化テストの実績について「従来の質と同水準を概(おおむ)ね達成している」と評価。市場化テストに限らず、「より包括的な広義の公共サービス改革にも広げる」としているのが大きな特徴です。

 地方自治体での委託拡大、行政刷新会議との連携もすすめることを打ち出しています。

サービス低下
 しかし、市場化テストの3年間を見れば、拡大どころか中止こそ求められていることは明りょうです。

 とりわけ民間委託で浮き彫りになったのは公共サービスの水準や質の低下です。

 法務局の証明書発行業務では、参入業者による不適正な事務処理が発生。短期間で委託業者が入れ替わり、経験ある職員がいなくなって待ち時間が長くなるなどサービス低下が指摘されています。

 一方、行政と民間企業を競争させる「市場化テスト」として行われたハローワークの求人開拓事業では、圧倒的に行政の優位性が明らかとなっています。

 北海道と青森で行われた求人開拓(2008年度)では、開拓求人数でも充足数でも、1人あたり経費でも、すべてで行政が民間を大きく引き離し、すでに委託の対象業務から除外されています。

低価格競争
 基本方針は、これまで入札を実施した事業では年間347億円かけていたのが157億円と半額以下ですませることができたと自慢しています。しかし、それは低価格競争によって不安定雇用に置き換えられ、賃金低下など労働条件が低下したからにすぎません。

 法務局の証明書発行業務を担ってきた民事法務協会は、低価格競争で落札できなかったため全国的に職員の大量解雇や賃金切り下げが行われました。落札した派遣会社に雇用されても、不安定な有期雇用となるなど大幅な労働条件の低下が起きています。国土交通省の車両管理業務でも同様の事態が起きています。国が「官製ワーキングプア」をつくりだしているのです。

 「官から民へ」の名で小泉政権下からすすめられた「構造改革」路線に対し、国民はノーを突きつけ、政権交代につながりました。しかし、基本方針は、政権交代があっても公共サービス切り捨ての自民党政治を民主党が引き継いでいることを示しており、この点でも国民の期待にそむく姿を示しています。(深山直人)
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 「市場化テスト⇒サービス低下、低価格競争による官製ワーキングプア製造⇒中止こそ求められていることは明瞭」というのが、この記事の伝えるところということになるんでしょうかね。

 市場化テストって、本来は、要するところ「官・民の垣根なく、一番うまくできる人にやってもらう」「民でできるものは民へ」であります。確かに「民でできるものは民へ」が、いつの間にか、単なる「官から民へ」の原理主義に摩り替わっていたりすることは否定できないわけですが、抽象的な理念としては、別に間違っちゃいないでしょう。公務員に限らず、全ての人に国家建設に参加する機会を保障する。国民が主人公。共産党の口癖ですね。

 そういうわけで私なんかは、むしろ、「拡大か中止か」ではなく「原点回帰」こそ求められていることは明瞭だといいたいところですが、共産党は、「国家回帰」を主張しています。

 かかる「国家回帰」に対する批判・反論は色々な立場から多様な内容でなされていますが、私としては、「『国民が主人公』と言っている『共産党』として如何なのか」という角度から検討したいと思います。

 先にも書いたとおり、市場化テストは、使いようにもよりますが、「国民が主人公」を実現する条件を整備します。であるならば、今現在、市場化テストによって公共サービスを委託されている民間企業が、思うように職務を遂行できていないのだとすれば、それを理由に安易に「国家回帰」するのではなく、「志ある人全てに対してスキルアップする機会を与える」という方策もあり得ます。むしろ私はそっちのほうが筋が通っているし、筋云々は別にしても、現実的であり効果的であると思います。もちろん、その結果として、「官」が一番優れたていることが実証されたとするのならば、「官」に引き続きやってもらうということは、結構なことだと思います。「官・民の垣根なく、一番うまくできる人にやってもらう」ですから。しかし、「結果としての『国家回帰』」と、「スキルアップの機会」も与えないことによる「原理主義的な『国家回帰』」とは根本的に異なります。

 このように考えると、前掲記事のような反応は、本当に「国民が主人公」と思っているのか、懸念を表明せざるを得ない反応であります。
posted by s19171107 at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 共産党とかそっちの方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月19日

これニュースになるんだね

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100716-00000518-san-soci
>>> 「水俣病触るな!」中学生がサッカーの試合で暴言 熊本
7月16日9時42分配信 産経新聞

 熊本県芦北町で6月上旬に行われた同県の中学校サッカー部同士の練習試合で、県内の市立中学校の男子選手が水俣市の中学校の選手に再三にわたって「水俣病、触るな」などと暴言を吐いていたことがわかった。

 同市教委によると、試合中、ボールの奪い合いや接触プレーが起きたさい、相手チームの選手1人が水俣市の複数の選手に対して差別発言を繰り返した。水俣市の選手はこれを聞き「謝れ!」なとと抗議する一幕もあったが、「その場で謝罪があったかどうかは確認できなかった」(市教委)という。

 試合後、水俣市側の顧問教諭が相手校の差別的な言動に気付き、相手校の顧問に確認。この顧問が発言した選手に確認し、保護者らとともに謝罪したという。翌日には校長が同市教委を訪れ、「申し訳なかった。水俣病に関する正しい理解が教育の場でできていなかったのかもしれない」と陳謝。同市の職員らを招き、保護者集会や教員研修で、水俣病に対する正しい知識や理解を学習したという。水俣市の葦浦博行教育長は「差別発言があったのは大変残念。水俣病が正しく理解されるように県全体で取り組んでほしい」と話している。

最終更新:7月16日13時16分
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 こんなようなことってザラにあると思うんですけどねえ。子どもなんて、相手を攻撃できる口実――たとえば、「チビ」や「デブ」といった「自分たちとの差異」――があれば、何だってネタにするもんですからねえ。この暴言を吐いた男子選手だって、どうせそんなレベルでしょう。口にした単語は違えども、発想においては教科書通りの暴言プロセスです。水俣市教育長は「水俣病が正しく理解されるように」などと言っていますが、水俣病への理解不足云々のレベルではないでしょう。

 差別かどうかという点については、差別を「不当な区別」とするのであれば、本件を「差別事案」とするのは、間違ってはいないとは思うのでありますが、「チビ」や「デブ」は問題にならないのに「水俣病」は問題になってしまう点には注目したいですね。「チビ」「デブ」だって、それを理由にむやみに云々すれば十分、暴言であり差別であると思うんですが、毎日、日本のどこかの学校で言われているはずなのに、その割には大きな問題としては認識されないですよね。

 まあ今に始まった話じゃないですけど、差別問題を「面倒な話」と感じる人は少なくないので、なるべく触れたがらず、当事者からの告発が来てしまったときには「理解不足でした」とか「私が悪うございました」などと、ホイホイと定型句の即レスして済ませようとする人が少なくないです。特に日本人は、弁解なし平謝り(の姿勢を見せること)を是とする人たちであることは、当ブログでも散々、指摘してきたとおりですし。しかし、その結果がこれです。同じようなことが繰り返されているのです。
posted by s19171107 at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月18日

共産党とみんなの党

 日本共産党(以下、「共産党」)の話。

 よく共産党支持者は、党の政策が余り支持されない、というか余り広まっていない原因について、「メディアが共産党をスルーするせいだ!」とします。当ブログでは、今まで、必ずしもそうではないのではないかとして、色々と記事を書いてきました。余りに非現実的であったり、あるいは、途方もなく時間のかかる案であり、そんなものが実現されるのを待っているほど余裕はない、などなど、、、

 しかし、共産党が常に斜め上の政策を口にしているかというと、必ずしもそうではありません。たとえば、本日づけ『赤旗』の主張は、以下のような内容でした。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-07-18/2010071801_05_1.html
>>> アナログ放送停止 「難民」生まないため延期を

 テレビのアナログ放送を停止する「デジタル完全移行」が1年後に迫っています。政府はそれまでに、テレビの買い替えやアンテナの設置などを終えるよう、国民に求めています。

 完全移行にはさまざまな問題が残されているのに、政府は無理を承知で計画を強行しています。このままでは、テレビが見られなくなる「テレビ難民」が大量に生み出されます。政府は、視聴者を切り捨てる「2011年7月24日完全移行」へのこだわりをやめ、問題解決を優先すべきです。

(以下略) <<<
 たしかアメリカでも、普及不調を理由に地デジ移行が延期されたので、共産党の思いつき的・非現実的な主張ではないと思います。

 このように、共産党が、実現がそれほど困難ではない現実的な正論を口にすることも少なくはありません。にもかかわらず、支持されない、相手にされない。何故でしょう?

 たとえば前掲の地デジ移行についてみれば、これについては共産党とは別に、以下のような動きがありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100717-00000675-yom-bus_all
>>> TVデジタル化延期、放送専門の有識者ら提言
7月17日18時23分配信 読売新聞

 1年後に迫った地上波テレビの完全デジタル化について、放送を専門とする有識者らが17日、東京都内で記者会見を開き、デジタル放送の完全移行を2、3年延期すべきであるとの提言を発表した。

 提言をまとめた発起人はジャーナリストの坂本衛さん、清水英夫・青山学院大学名誉教授ら。

 提言では、来年7月までに見込まれる地上デジタル放送の受像機の普及台数から、テレビが見られなくなる世帯や事業所が数百万規模に上る恐れがあることなどから、アナログ放送停止を延期するのが得策としている。

最終更新:7月17日18時23分
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 つまり、ほとんど同じようなことを専門有識者が語っているのです。

 この事態が代表するように、(珍しく)共産党が現実的な主張をするとき、非共産党系人士、あるいは、共産党以外の政党も同じようなことを主張しているということが、今まで多々ありました。共産党はそのことを逆に「我が党の主張が正しいことの根拠!」とか「我が党が議論のキッカケを作った!」「〜党の主張は、もとはと言えば我が党が言い出したこと!」などとしていますが、常識的に考えて、共産党と専門家・非共産党が同じようなことを言っていた場合、専門分野に関する学問的信頼がよりある専門家、政策実現力がよりある非共産党のほうに注目が行くのは当然です。国民が求めているのは、信頼性のある主張と実現力です。学問的信頼の無い共産党(まあ、普通、政党に学問的信頼なんてないもんですけどね、共産党に限らず)が何か言っていたところで、「それって本当なのかな? 学者の意見求む」と思いますし、たとえ学問的に正しい主張であっても、実現力のない政党が言っているのと、実現力のある政党が言っているのでは、意味が全く異なり、「〜党の主張は、もとはと言えば我が党が言い出したこと!」といったところで、「でも、実現できるのは〜党のほうだよね」と言い返されるがオチです。それが競争というもんです。

 独自色を出すと「非現実的」として相手にされない、現実的なことを言うと、より実現力のあるほうに支持が行って自分たちは全く相手にされない。今回の参議院選挙の惨敗を受けて、党中央は「捲土重来を期したい」などと言っていますが、今のままの思考・政策方針では、道のりは相当、困難なのではないでしょうか。選挙のたびにくだらない言い訳ばっか考えている暇があったら、どうしたら構ってもらえるか、要するに「現実的な独自色」を考えればよかったのにね。ここまで一気に得票数・得票率を落としてから慌てても、ちょっと遅い気がします。

 とりあえず目先の党勢を維持するためには、「ルールある経済社会」ならぬ「節度ある公務員制度改革」みたいなのやってみるといいかもしれないですよ。今現在、公務員問題を前面に押し出して取り上げている政党は、例外なく「小泉文革路線」の血統を継ぐ党です。共産党の主張する「公務員削減は公共サービス低下をもたらす」というのは、大枠においては正しい主張です。しかし、ある程度においては必要なことです(あんだけ公務員叩きに反対する記事を書いておいて今更ですけど)。公共サービス低下をもたらさない程度の節度ある公務員制度改革は、今のところ誰も手をつけていない分野です。国家的必要性も高く、有権者需要も高いこの問題について参入するのが、共産党が支持を繋ぎとめる最後の「現実的独自色」かもしれません。なーに、公約集のトップの「大企業の利益と内部留保が国民のくらしと日本経済に還元される経済システムに――“ルールある経済社会”を築きます」の「大企業」を「公務員」に、「利益」を「給与」に、「内部留保」を「埋蔵金」に変えるだけで大丈夫ですよ。みんなの党の政権公約と余り変わらない印象がしますので、「節度ある」というのを特に強調しなければなりませんが(最近思うのが、共産党とみんなの党が、「絶対悪の敵との対決」という点で親和性があるなということ。あくまで印象ですが)。

 もちろん、これが共産党のアイデンティティと両立するかという大問題はあります。また、たとえ、「節度」を掲げてみんなの党との違いを際立たせたとしても、共産党には、みんなの党の(「公務員制度改革」と並ぶ)主軸である「規制緩和による民力活用を通じての成長戦略」は、逆立ちしたって出せない以上、「規制緩和信仰」がある限り(まあ無くならない、少なくとも今更「組織化信仰」が再来するとは思えないけど)、結局は、みんなの党の後塵を仰ぐのが精一杯だと思います。やっぱり厳しいかな。
posted by s19171107 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 共産党とかそっちの方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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